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酒都西条の地で、吹奏楽と作曲・編曲(……と、ちょこっと仕事)に勤しむラッパ吹き根魚のブログ
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♪ #56: 遠い世界 / アクアマリン


前回記事のタイトル、今回のに使えばよかった。
(一応、記事の内容と少しでも関係のある内容のものを選んでいます)


こんにちは。
PCがもう満身創痍なので、記事書きながら何度もタブ開き直しによる文章消滅の洗礼を浴びました。
こまめに保存しながら書いていたのですが、もうすごくイラついて仕方ない。
長々書いた前置きも全部消えてしまったのですが、
本編とは関係のない雑談なんで、もう書き直すのやーめた。心折れました。


さて、今回は前回予告した通り、
「採りあげたかったけど、結局できなかった曲」を挙げてみたいと思います。
中には難易度的な問題で初めから無謀、絶望な曲も混じってますが、
あくまで、「やりたい」という点に重視したラインナップになっております。

それではいってみましょう。



■ 過去の課題曲


まずは定期の第1部で毎年1枠ある、過去の課題曲の中から。
とはいえオレの在任中3回あった定期のうち、過去の課題曲から選んだのは1回だけ(第26回の『パルス・モーションⅡ』)で、
残り2回は、「公募入選しながらも課題曲には採用されなかった曲」を選んだのだ。
オレが企画になったらここに一番こだわるだろうと思っていた団員もいたかもしれないが、
こだわりすぎた結果がこれである。あさっての方向。
風の島もアルマリブレも、オレじゃなかったら100年経っても採りあげられないと思うので、
(アルマリブレにいたっては多分5万年経っても採りあげられてない。実質楽譜なかったわけだし)
これらに走ったことについては後悔してないし、個人的には満足しているが、
まあこんな風にこだわりすぎて、肝心の課題曲自体をパルスしかできなかったのもまた心残りである。

そんなわけで、自分が今後も企画を続けていたら採用したかった課題曲を挙げてみる。


① 吹奏楽のための協奏的序曲 (藤掛 廣幸  1976年課題曲B)

作曲家・藤掛廣幸の作品は、過去3度課題曲に選ばれている。
この曲と、『白鳳狂詩曲』と、『ロックン・マーチ』。
いずれも人気が高く、白鳳やロックンマーチは今でも時々採りあげられてるのを目にする。

ところでオレが藤掛廣幸という作曲家に初めて興味を持ったのキッカケは、吹奏楽ではない。
この作曲家、マンドリンオケの作品も多数発表しているのだが、
その中に、『星空のコンチェルト』という曲がある。
昔、まだ中学生だったころによくJ研という着メロを自由に投稿したり視聴したりできるサイトに入り浸っていたのだが、
その際にどうやってたどり着いたのか、この曲の着メロを耳にしたことがあり、
一瞬でその世界に引きこまれたのである。
遥か高い天空を彩るようなキラキラしたマンドリンやマンドラ系の独特の味わいもさることながら、
ひとつのモチーフを緻密に絡み合わせ(フーガ)、
無限の世界を表現するような奥行きのある音楽にハッとした記憶がある。

で、今から思えばこのようなフーガこそが藤掛作品の大きな特色なのだろうと思うのだ。
そう思えた大きな要因となったのが、この『吹奏楽のための協奏的序曲』である。
序奏部に続いて現れるフルートのソリスティックな旋律、
そしてそれを起点にして他の楽器が徐々に加わってゆく構成…。
これはかつて聴いたあの『星コン』をまさに思い起こさせる作り。
実際初めてこの曲を聴いたとき、
≪星空のコンチェルトに雰囲気が似ているな≫
と思ったのだ。(この時点ではまだ『星コン』=藤掛作品というのは知らなかった)

冒頭のホルンファンファーレや前述のフーガ部など、決して簡単な曲ではないし、
それ故に当時敬遠されがちで思い出補正的なものもなく(そもそも当時を経験した世代がもう少ない)、
今更この曲を採りあげるメリットは実際あまりないのかもしれないが、
時代の古さで知名度が低いだけで、未だに語り継がれる名課題曲の一つだと思う。
オレがかつて感じた、琴線に触れるあの感覚を感じてくれる人がいるかもしれないと考えると、
この曲をいまだ諦めきれないのである。






② 渚スコープ (吉田 峰明  1987年課題曲B)

すごくキレイな曲なんですよ、コレ。
課題曲にはあまりないタイプの曲なんだけど、
セピアな匂いを醸しつつも、フランス的な抒情性、色彩的な面を感じさせて実に洒脱。
個人的にもすごく好みのタイプで、
世間の評価も「隠れた名曲」というのが大方のようだ。

では、こんないい曲がなぜ「隠れた名曲」なのか。
課題曲というのは、吹奏楽人ならご存じの通り、
課題曲Ⅰ(昔のA)のパート譜の裏面に課題曲Ⅱ(昔のB)のパート譜が印刷されており、
同様にⅢ(C)の裏面にⅣ(D)、となっている。
で、この渚スコープ(課題曲B)の反対側には何が印刷されていたか、
答えは1987年課題曲Aの『風紋』である。
あの課題曲史に残る名曲とされる曲の裏面に、文字通り隠れてしまったのだ。
そんなわけで影が薄くなってしまった……は言い過ぎかもしれないが、
でもこのままひっそりと消え行くには惜しすぎる曲であるのも事実。
情緒的ながらも、全体的にソリスティックかつテクニカルな演奏が要求されるので、
コンクールの場でなくとも選ぶのに勇気がいる曲なのは間違いないが、
こういう作品こそ大人のバンドが本気で取り組むべき一曲であると言えよう。






③ ネレイデス (田中 賢  1992年課題曲A)

この曲は、もう何年か企画を続けていたら確実に選んでいた。
だが、少し時間を置く必要があったのも事実。
その理由は、まず同じ年のフューチュリズム(阿部勇一)をオレが企画になる前春の定期でやっていたから、
そして田中賢の曲で他にやりたい曲があったからである。
後者については、実際一度定期のプログラムに入れようとしたことがあるのだが、
諸事情により却下されてしまったので、
結果的に二兎を追って共に逃がしてしまった形となった。

「ネレイデス」とは、ギリシャ神話にでてくるネレウスとドリスの間にできた美しい娘たち(ニンフ)のことで、
この曲では海のイメージの象徴として名づけられている。
作曲者がかつてエーゲ海に浮かぶギリシャの島々を船でまわった経験から着想を得て作曲したというこの曲は、
船のデッキから見える刻々と変化していく波の姿や、
海の中に潜ったときの神秘的で魅惑的な美しい様子といったエーゲ海での感動的な体験を描いているのだという。

サックスを中心とした前半の「緩」の部分は、
アゴーギクやアインザッツといった、繊細な「揺らぎ」の表現が、
9/8拍子と3/4拍子が混在する後半の「急」の部分は、
ダイナミクスのメリハリと細かいパッセージへの丁寧なタッチがそれぞれ要求され、
技術・表現の両面において難易度も高い部類に入るが、
たった4分という短い小品的性格を持った曲ながら、
それを感じさせない密度の濃さと、既に熟練されている作曲者の手腕が光る逸曲。
これもどちらかと言えば大人のバンドだからこそ取り組みたい曲。






④ アルビレオ (保科 洋  1998年課題曲Ⅲ)

1998年と言えば、『童夢』と『稲穂の波』が大人気。
一方で半分ネタみたいな曲ながら、どんなレベルの団体をも受け入れる懐の深さを持った(?)『ブラジリアン・ポートレイト』も、
確かな存在感と強烈なインパクトを残した。
そんな3曲に囲まれ、ある意味では割を食ってしまった形になったのが、
保科洋氏への委嘱作品であるこの『アルビレオ』である。

アルビレオというのは、はくちょう座β星の固有名である。
代表的な二重星としても知られており、
金色の三等星と、青色の五等星がちょうど重なるように位置している。
その色合いからそれぞれトパーズとサファイアにも例えられ、
この一対は「天上の宝石」とも呼ばれており、
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも、

≪眼もさめるやうな、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとほった球が、輪になってしづかにくるくるとまはってゐました≫

なんてとりあげられている。
で、この曲である。
この曲は、性格の異なる二つのモティーフが、
あたかもアルビレオのように絡み合って進行していく構成となっている。
ということでこの曲は専らそれら二つのモティーフをどのような色に演奏し分けるか、
という点が基本かつ最大の課題(解釈および表現のポイント)となっている。
モティーフの片方はスタッカートとシンコペの効いた上昇音形、
もう一方はスラーでレガートの効いた下降音形という、まさに教科書的な対比。
愚直なまでに課題曲の何たるかを踏まえた作りで、さすが巨匠の仕事。

急緩急の急の部分、二つのモティーフの掛け合いを中心とした部分もいいのだが、
個人的には中間部のウットリするような、なんだか夢の中を漂っているようなあの独特の雰囲気がたまらなく好きなのだ。

ちなみにこの「アルビレオ」という星、
二重星という大きな特徴から他のジャンルや作品などでも題材にされることが多く、
例えばオレの好きなアーティストであるアクアマリン(天体や星座、自然、旅などを扱った歌を作る)は、
「Albireo」という曲を、結婚する知人のために作っている。
二重星であるこの星を、巡り合い、一緒になる二人に重ねているというわけだ。






⑤ 追想 ~ある遠い日の~ (岡田 宏  2002年課題曲Ⅱ)

ここらへんになると、オレもさすがに「当時を知る」時代になってくる。
とはいってもまだ2002年、中1なのでラッパを初めてまだ数年、コンクールに至っては初である。
この年の課題曲はどれも好きなのだが、
この追想は、「聴くにはいいけど…」って曲の筆頭だと思う。
実際に演奏した人が口を揃えて言うのは、「薄い」ってこと。
もちろん内容が、じゃなく、オーケストレーションが、ってことだ。
なんだけど別にパルスモーション同様、コンクールで演奏するわけじゃないし、
多少のリスクを抱える曲でも、昔から憧れる曲に挑んでみたいと思うのは当然の感情で、
それはこの曲に対しても変わらない。
コンクールじゃない(時間制限がない)からこそ、
当時のコンクールで続出した、時間を気にするあまり走りまくった演奏でない、
もっとこの曲の持つ魅力である「間」や「フッと音の消える瞬間」を楽しめる演奏が作れるのではないかと思うのだ。

※楽譜の指定テンポからいえば、むしろ東京佼成の参考演奏(下に挙げてる音源)が遅いくらいなのだが、
あれは公募の時点で時間を少しでも短くするために作曲者がやむなく指定テンポを上げたためで、
佼成の演奏テンポくらいがむしろ作曲者の本意なのではないか、とオレは思っている。







■ 課題曲以外


引き続いて、過去の課題曲以外の曲から。
⑫を除いて、すべて定期の第1部に組み込むことを想定した選曲となっています。


⑥ グローバル・ヴァリエーション (N. ヘス)

タイトルに「ヴァリエーション(ヴァリエーションズ)」(=変奏曲)とつく有名な曲が、吹奏楽には3つある。
『フェスティバル・ヴァリエーション』(C. T. スミス)
『セント・アンソニー・ヴァリエーション』(W. H. ヒル)
そしてこの『グローバル・ヴァリエーション』だ。
前者2つは、強豪校、強豪団体がコンクールや定期でちょくちょく採りあげているのを見るが、
『グローバル…』はそれら2曲に比べると、目にする耳にする頻度が極端に少ないような気がする。
だがオレは3曲の中でこの曲がダントツで好きなのだ。
難易度の問題ではないだろう(3つとも普通に難曲、むしろグローバルが一番マシ)。
考えるに、それはひとえに「使用打楽器の多さ」に起因しているものと思われる。その数実に30以上!
もちろん実際には別の楽器で代用できたり、簡単に手作りできたりするようなものもあるのかもしれないが、
使用楽器欄に羅列されている名前だけ見ても、
それがどんな楽器なのかすらわからないようなのがチラホラ。
これじゃあさすがにリスキーすぎて楽譜購入に踏み込めないってもんです。
他に、楽器欄には記されていないが、音源によっては(多分スペインの場面で)
アコーディオンだかバンドネオンだかの音が聴こえてくる場面もあったり……。

ただし、そこの問題さえクリアできれば、
難易度的にはウチの団体でもすげー頑張ればなんとか完成させられるはず。
個人的にすごくやりたかったことに加え、
最近になってどうも団員の中でこの曲を昔からやりたがってた人がいたらしき情報もあり、
しかもその人が問題の打楽器奏者ということで、
全面的に前向きな検討を得られそうという意味で、前述の問題もなんとかなったんじゃなかろうかという思いが今になって……。
ああ、悔しい。

この曲は、簡単に言えば
≪ロンドンを起点とした世界一周の旅≫ がコンセプトになっている。
冒頭、「学校のチャイム」としても有名な「ウェストミンスター宮殿(ビッグベン)のチャイム」がチュブラーベルによって再現され、旅は始まりを告げる。
その後、
フランス→スペイン→南アフリカ→エジプト→ロシア→インド→中国→オーストラリア→南アメリカ→アメリカ合衆国と順番に旅していき、
最後はアイルランドとスコットランドを経由して、イギリスに帰ってくる(ラストにも冒頭同様のチャイムがある)、といった具合。
わずか9分間の世界一周旅行というわけだ。
ちなみに出発地と帰着地がイギリスなのは、作曲したヘスがイギリス人だからである。

音楽に造詣が深い人でなくとも、
国ごとにその国を想起させる曲調、旋法、楽器が用いられており、
また「ヴァリエーション」の名の通り、恐らくはその国に実際ある曲を模したと思われる旋律もあり、
演奏する側だけでなく聴く人も大変楽しめる曲である。
国ごとのメドレー、あるいはオムニバスのような構成と思われるかもしれないが、
一曲を通してのメリハリやドラマチックな展開もしっかりと用意されており、
非常に内容の濃い銘曲。これできたら楽しかっただろうなぁ…。






⑦ スパークリング・ダイヤモンドダスト (飯島 俊成)

全体に透明感が感じられる、清冽な北の大地の雰囲気がよく出てる曲。
印象的なパッセージやコラールがないので、どことなくつかみどころのない曲ではあるけど、
非常に繊細で緊張感の漂う、慎ましやかな(だがそれがいい)音楽。
終始木管中心に進む曲なので、ラッパ吹きの自分としては少々もどかしいのだが、
その分木管の持つ特性が存分に発揮されており、とても優美で綺麗な仕上がりとなっている。

難点を挙げるならば、レンタル譜であること、ピアノを使うこと、
そして演奏時間が6分程度と、定期のメインに据える曲としては短いこと、
けどメインじゃない曲として考えると難易度が高めであること、かな。
せめて難易度がもう少し下がれば、メインの前の小品的なポジションにピッタリなのに。
というあたりで、使いどころが難しい曲ではある。
コンクールの自由曲としてならカットもしなくていいしこれ以上ないセレクトだと思うけどね。
あ、あとはわかりやすいドラマチックな展開、激しい部分が最後の最後にしかないので、
6分という短さもあいまって人によっては、「え?もう終わり?」みたいに感じちゃいそう。

それにしても飯島俊成って、響宴でも常連と言えるほど作品出してるのに、
なんかイマイチ人気ないっていうか、流行らないんですよねぇ…。
だからこそ採りあげたかったってのも大きかったんだけど。
00年代以降持て囃されてる「ガンガン鳴らせ」系音楽に逆行するような、
なんていうか「侘び寂びを弁えた」音楽性や独特の哀愁があって、個人的には大好きなんだけど。


⑧ ラスベガスを喰い尽くすゴジラ (E. ウィテカー)

イケメン作曲家ウィテカーと言えば、ほとんどの吹奏楽人にとっては「ゴースト・トレイン」であろう。
実はこれも地味にやってみたい曲の一つだったりする。
この『ラスベガス…』を初めて知ったのは高校生のときだっただろうか。
最初はもちろんそのタイトルのインパクトに興味を持った。
きっとケレン味たっぷりのイロモノ系の曲なんだろうな…なんて思いながら聴いてビックリ。
いや、確かにケレン味はすごいし、イロモノかと言われれば吹奏楽界きってのイロモノですわな。
ただ、なんだこの尋常じゃないカッコよさ。
当時はまだ、大学以降一般団体で吹奏楽を続けるかどうかは別に考えちゃいなかったけど、
大人の団体に入ったら、こんな曲をクールに演奏したい、演奏できたらカッコいいだろうな~
なんて憧れを膨らませていたものだった。

この曲はまさにタイトル通り、
ゴジラがアメリカに上陸し、コンサート会場を急襲、さらにラスベガスを襲う模様を、
様々な特殊奏法や普通の楽器以外の音響効果(人の声含む)をも駆使して描写した、
「The USA」感溢れる大スペクタクルのシンフォニーである。
ゴジラ襲撃の場面の描写なんて、
けたたましい自動車のブレーキ音やクラクション、逃げ惑う人々の喚声など、実にカオスで楽しい。
この曲の前年に作曲されたゴーストトレインに見られた、
ジャズの要素を取り入れたたいへんユニークな音楽づくりはこの作品にも生きており、
ブロードウェイっぽい華やか系、場末のバーでかかっていそうなダウナー系、
「トムとジェリー」に代表されるアメリカのカートゥーンの劇伴で流れてそうなコミカル系、
あるいは刹那的な感情の起伏を描写したようなSE(効果音)系などなど、
ジャズを中心とした、実に多様なオシャレ系ミュージックの宝庫である。

もちろん、ゴーストトレイン同様、難易度は非常に高い。
ウチの団で採りあげるなんて非現実的だろう(というかそこらの一般団体ではまあ無理でしょう)。
ただ、高校時代に抱いた一般団体への憧れはまだオレの中に燃え続けている。
届かないとわかっていながら、諦めきれない夢として今後もオレの中に残るだろうな。


なお、この曲について紹介してくれているブログ記事があったので、
以下にリンクを貼ってみました。

吹奏楽マニアに捧ぐ・第11回『ラスベガスを喰い尽くすゴジラ』

楽譜見たことなかったけど、こんな場面設定とかトンデモ指示がわんさかあったのね。
プレスリーの衣装を着ろとか、実に意味不明で楽しい!






⑨ カートゥーン (P. ハート)

この曲のスタンスは、『ラスベガスを喰いつくすゴジラ』のそれに近い。
要するにタイトル通り、「いかにもアメリカのカートゥーンの劇伴として流れてそうな曲」である。
別に何か元ネタがあるわけでない。ただ、極めてそれっぽく「ありそう」なのである。
オレは子どものころにトムとジェリーを無茶苦茶見てた人間なので、
アメリカのカートゥーン(アニメ)といえば一にも二にもトムジェリなのだが、
この曲が始まってわずか数秒で、もういかにもトムジェリーで流れてそう感がハンパじゃない。
目を閉じれば流れてそうなシーンが容易に浮かぶってもんよ。

でも考えてみればトムジェリの作曲家って凄いよなぁ。
日本のアニメみたいに、あらかじめ色んな場面ごとに想定した曲をいくつか作っておき、
シーンごとにそこにあったBGMを乗せるってわけじゃない。(一応言っとくが批判ではないぞ)
話ごとシーンに沿って物語のごとく音楽を作っている。
すなわち、「あっ、これ前にも聴いたやつだ」ってのがない。
しかも、効果音だったり、トムやジェリーが驚いたときの感情の昂ぶりだったり、状況の悪化具合だったり、
そういったものも自然に曲の中に組み込んで描写するというプロフェッショナルぶり。
トムジェリもそうだけど、向こうのアニメってセリフをほとんど排してるのがちょいちょいあるじゃない?
必然的に劇伴の存在意義や重要性は跳ね上がるわけで、
「セリフを排す」「曲で表現する」という二重のハードルに真っ向から挑んでるといえる。
アニメにおけるアメリカのこういう姿勢は、
日本の『行間を読む』美学を大事にする姿勢と似通っているようにも思える。

さて、話が逸れましたが、この曲もやっぱり激ムズ。これもウチじゃまあ無理。
コンセプトの幅が狭いぶん、『ラスベガス…』に比べると多少内容は薄いが、
これも実にユニークな一曲である。
『ラスベガス…』と同じく日本人には書けないであろうタイプの曲で、
アメリカ人作曲家ならではのセンスが光っている。






⑩ 未来への飛行 (本澤 なおゆき)

これはどちらかと言えばポップス寄りの曲。
構成自体は急-緩-急の3部構成というよくある序曲タイプなんだけど、
急の部分では基本的にずっとドラムセットがビートを刻んでいるので、
その分軽快で若々しい爽やかさが前面に押し出されている。
聴く人によっては俗っぽいと感じるかもしれないが、
基本明るいんだけど所々で感傷的な感情が呼び起されるようなこの曲の旋律、オレはすごく好きだ。
余談だけど、この曲初めて聴いたとき、
下に載せてる動画でいう0:58~のところで、石川ひとみさんの『まちぶせ』を思い出してしまった。
『微笑み 見~つめ合~う~  見覚えあるふ~た~り~』の、『見~つめ合~う~』の部分ね。

実はこの曲、2年目だったか、定期の第2部のオープニングに提案したことがある。
しかし、1曲目にしては長いこと、そして第2部にもオリジナル曲を持ってくることに難色を示されてボツになったのだ。
その際の反応から、第1部のオープニングとしてなら採用できそうではあったけど、
結局そのチャンスをものにする機会がないままとなってしまい、実に無念。

もう幻となったが、もし今年も企画を続けていたら活用していたであろうネタ帳の、
第28回定期の第1部1曲目の欄には、『未来への飛行』と書いてあった。
難易度的には大したことはないので、この先演奏する機会に巡り合えるといいなぁ。

ちなみにこの曲は、作曲者がパイロットをしている兄に捧げた曲だという。






⑪ キャンディード組曲 (L. バーンスタイン  /  C. グランドマン)

「序曲」ではない、「組曲」のほうである(←こっちのが好き)。
傾向からいえばオレにしては意外なチョイスであるが、
何故かこの曲は昔から大好きで、高校のころにやたら聴きまくっていた。
実際相当な難曲ではあるのだけど、ラスベガスよりはまだ現実的ではあるかと。
というか今年自由曲でピータールーいけたんなら、頑張ればこれもいけるんじゃない?


⑫ レマゲン鉄橋のテーマ (E. バーンスタイン)

これは少し番外編。
吹奏楽譜が出版されていないので、いつかアレンジできればという野望があるのだ。
映画ファンにとってはごく当たり前に昔の映画のテーマ曲なのだが、
映画を知らない者にとってこの曲は、『よゐこ濱口が海に潜るときのテーマ』である。
かつて放送されていた番組『いきなり!黄金伝説』において、
1か月1万円生活中に濱口が海生活に突入すると、この曲がBGMとしてかかっていたのだ。
映画音楽のよさがギュッと詰まったような名曲だと思うんだけど、どうでしょう?
あまりに好きすぎて、高校のときに作った海にまつわる曲の中に、
この曲の一部をもじったようなフレーズを書き入れてしまったくらいだ(オマージュというと許される風潮)。
元々は海まったく関係ない曲なのに、やたらと海中の映像とマッチするのも不思議だけど素敵。
(最近、この濱口モリ突きの海中映像を撮影していたのが、話題のナスDと判明してましたね)
インパクト絶大ながら、3分ないくらいの短い曲だけに、プログラムのオープニングにも最適。
実際使うかどうかはさておいて、時間ができたら書いてみようかな。





コメ欄が映画じゃなくて濱口に関するコメントばっかりで草




このほか、

♪ ゴッドスピード! (S. メリロ)
♪ ライド (S. ヘイゾ)
♪ ドラゴン・ファイト (O. M. シュワルツ)
♪ スクーティン・オン・ハードロック  ~3つの即興的ジャズ風舞曲~ (D. R. ホルジンガー)
♪ 落夏流穂 (柳川 和樹)
♪ レムリア  ―失われた大いなる遺産 (八木澤 教司)
♪ 海鳴り (高橋 ひろみ)
♪ フライ・ハイ (星出 尚志)
♪ 銀河鉄道の夜  ~吹奏楽、合唱、ナレーションによる音楽童話~ (菊池 幸夫)

…あたりも、上に挙げている曲ほどではないが興味のあるラインナップである。
何年か前にやったけど、井澗作品もまたやってみたいと思う。

あと、出来る気は全然しないけど、死ぬまでに一度は田村文生の曲に直に触れてみたい(笑)
あの不穏で不気味でキモチワルい作風大好き。


ということで、全4回に渡ってお送りしましたが、
これにて、オレの企画振り返り企画は終了です。
お付き合いいただき感謝いたします。

次回記事よりまた平常運転で参りたいと思いますので、
また今後ともよろしく見てやっていただけると嬉しいです。

それではまたお会いしましょう。


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