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酒都西条の地で、吹奏楽と作曲・編曲(……と、ちょこっと仕事)に勤しむラッパ吹き根魚のブログ
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♪ #60: 新しいドア / 槇原敬之



本日仕事帰りに吉野家に大行列が出来ていて、
何かと思ったらソフバンかどっかのキャンペーンらしい。
食物に対して「たかだか」って表現は使いたくはないのですが、
普通に買ってもたかだか数百円の牛丼目当てに、
一体何十分何時間待つことになるの?って思っちゃう大行列。
そりゃ無料は魅力的だろうけど、それと引き換えにどれだけ無為な時間を過ごすことになるかというところに考えが向かないのかなぁって、
なんだか哀れな気持ちになってしまいました。
ていうかロードサイドの店舗だから単純に渋滞して迷惑だし。

1月の中頃にもこんなことがありました。
帰りにマックスバリュ寄ったらまだ明るい夕方だってのに、駐車場は異常に車で溢れ、駐輪場にも大量の人が群れている。
一体何の騒ぎかと思ったら、何のことはない、みんなポケモンGOしてやがんの。
邪魔なんだよ、クソゲーマーどもが。
駐輪場に群がるバカ共を「邪魔なんじゃボケ!」とか言いながら
急発進急停止を繰り返しながらかき分けてました。
別にいい大人がゲームやろうが個人の趣味なのでどうこう言うつもりはないですが、
せめてルールとモラルは守ってやってくれませんかね。
ていうかおれだったら、たとえ自分がポケモンGOやってたとしても
いい大人があんな公共の場でスマホ持って居もしないポケモン捕まえるゲームに興じてるなんて
傍から見てどんだけ風が悪いか考えちゃってとてもじゃないけど無理。
他人からの評価を必要以上に気にしてしまうおれにとっては、
自分が周りからどう見られてるのかに対して無神経な人って精神的に強いなと思います。もちろんイヤミです。
そういう人になりたいとは思わない。

愚痴終了。



さて、2019年です。

今年は年明け早々ショッキングな報せがありまして、
自分の考え方や今後の人生について色々と考えさせられる機会になりました。
とりあえず言えるのは、姉が無事結婚してくれたことで安心しきって
もう結婚のケの字も考えようとしていないおれは親不孝だということ。



さて、本日帰宅すると注文していた2019年度課題曲のフルスコア集とCDが届いておりました。
早速それぞれ5回ほど聴いてみての印象を一言二言。
あくまで個人的な印象で書いてますのでご了承を。



Ⅰ:「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲 (林大地)

いや、かっこいいね。好き。
もともと存在する童謡や民謡の旋律を使った変奏曲的な課題曲はこれまでに以下のものがある

1978年B カント (さくらさくら)
1978年C ポップス変奏曲「かぞえうた」 (数え歌)
1979年C 幻想曲「幼い日の想い出」 (ずいずいずっころばし)
1980年C 北海の大漁歌 (ソーラン節)
1981年B 東北地方の民謡によるコラージュ (南部牛追唄、荘内おばこ、津軽じょんがら節、南部二上り甚句、ほか)
1991年B コーラル・ブルー 沖縄民謡「谷茶前」の主題による交響的印象 (谷茶前)
1993年Ⅱ スター・パズル・マーチ (きらきら星、スターウォーズのテーマ、星に願いを、ムーンリバー、組曲「惑星」より「火星」、七人の刑事)
2003年Ⅱ イギリス民謡による行進曲 (グリーンスリーブス、アニーローリー、埴生の宿)
2009年Ⅰ 16世紀のシャンソンによる変奏曲 (若い娘〔原題:Une jeune fillette〕)
2014年Ⅲ 「斎太郎節」の主題による幻想 (斎太郎節)

こうして見ると結構多いことがわかる。特に80年前後に多い。
他にも、

1980年A 吹奏楽のための花祭り
2000年Ⅱ をどり唄

このあたりは旋律自体はどこまで元ネタがあるのかは詳しくないが、
元ネタにあたる伝統芸能は存在する。

こうして見ると、この系統の課題曲は結構当たり外れが激しい。
というかイマイチなのが多い。
その中にあってこの曲は出色と言ってもいいんじゃないでしょうか。
中間部は、課題曲ではないですがちょっと『落夏流穂』に近い香りを感じてしんみりします。
打楽器奏者らしい打楽器への思い入れというか書きっぷりも好印象。
難易度的にも曲想的にも敬遠されそうな要素はないので、
演奏時間の点で選ばれやすいマーチ相手にも(選択団体数的な意味で)結構いい勝負するんじゃないかと予想します。


Ⅱ:マーチ「エイプリル・リーフ」 (近藤悠介)

ごくごくオーソドックスな課題曲マーチ。
一応言っておくが、おれは「よくあるオーソドックスな課題曲マーチ系統」というだけで
「この曲はイマイチ」とか判断することはない。
あくまで自分が好きか嫌いかだ。
その証拠に前回記事でブルースカイとか虹色の風とかがランクインしてたでしょ?
この曲はTrioまでは結構いい雰囲気かなと思ったが、Trio以降でちょっと失速したかなぁと思う。
Trioはちょっと「ゆかいな仲間の行進曲」のTrioに雰囲気が似てる気がする。
ていうかかなり似てる……よね?これいいのか?


Ⅲ:行進曲「春」 (福島弘和)

いいね。こういう2拍子で比較的落ち着いたテンポのブリテッィシュスタイルのマーチ好きです。
裏打ちがある部分と前打ちのみになる部分が入り混じってて、
前打ちのみの部分は前述のイギリス風マーチの持つ重厚さや荘厳さが、
裏打ちが入ってくると軽やかで爽やかな「春」っぽさが、それぞれ感じられる。
2012年の「よろこびへ歩き出せ」にちょっと近い雰囲気というか、
行進曲ながらあまり鳴らす感じの曲ではなく、横方向への躍動感とでも言いましょうか、
どちらかというとずっとシックなムードで進むタイプの曲です。

でもやっぱり福島氏にはマーチじゃなく非マーチを書いてほしかった思いはありますね。
「稲穂の波」とか「道祖神の詩」の頃はまだ全然駆け出し時代だったでしょうし、
あれから多くの曲を書き第一線に立った今、委嘱されるほどの存在になった福島氏にとっても、
課題曲というのはある種「原点」でしょうから、
そこに今の氏がどんな曲を書いてきてくれるのか、楽しみではありましたから。
までも福島氏なら年齢的にもこの先何回か課題曲委嘱は回ってくるでしょうから、
次回以降も楽しみに待っていたいところです。


Ⅳ:行進曲「道標の先に」 (岡田康汰)

こっちのマーチは1分試聴の時の期待感そのままに最後まで行ってくれた。
単におれがハチロクマーチが好きなせいかもしれないが。
Trio以降もハチロクマーチ特有の推進力を保ったまま進んでいく。
マーチでは特にTrio以降に感じがちな旋律の無理矢理感もなく、作曲者のメロディメイカー的センスを感じる。

ただ一つ気になったのは、
曲の冒頭あるいは前奏で使用された印象的なフレーズ、パッセージを
ラストでもっかい登場させるパターンのマーチがあるじゃないですか。
課題曲でいえば、「夢と勇気、憧れ、希望」とか「ラ・マルシュ」とか「ブルースカイ」とか「光と風の通り道」とか「青空と太陽」とか、ああいうヤツ。
で、この曲もその系統なんですけど、
この曲に関してはそこの部分がなんか蛇足に感じるんですよね。
一旦終わりそうな雰囲気を見せてから改めてそのフレーズに入るので、ちょっと違和感が…。


Ⅴ:ビスマス・サイケデリアⅠ (日景貴文)

事前情報なしでこの曲聞かされたら、絶対田村文生作品だと思ってたに違いない。
作曲者が田村文生に影響を受けているのかは知りませんが、
もうハンパじゃないくらいの田村臭。
ていうか日景貴文と書いて「たむらふみお」と読むんですか?ってレベル。
もしくは諏訪雅彦(本名:佐藤正)パターンとか。

そんなわけでワタクシが今日ご紹介する説はコチラ!

「7/8拍子でミュートトランペットを含む管楽器群が吹き鳴らしてる後ろで、
カウベル、タムタム(withトライアングルのビーター)、ボンゴ(with木製スティック)、チュブラーベルがワチャワチャ演奏されていたら、田村文生の曲っぽく聞こえちゃう説」


まあ冗談はさておき、マジで世界観が田村インスパイア、いや、もはやオマージュの域。
そのせいか知らないけど、田村作品好きなおれはこの曲好きだわ。
Ⅴ枠の曲にしては雰囲気が「陰」より「陽」寄りの曲だと思うし(個人的な感覚では2010年のスケルツォ以来かも)、
現代曲としては、田村チックな和声のどぎつさの割にはかなり聴きやすい曲ではないでしょうか。
もちろんスコアのイカツさは並大抵ではないし、
数回流し見ただけではまだ全然追いきれないほど濃く手ごわいゲンダイオンガクなのですが、
Ⅴ枠の曲としては久しぶりに「これは絶対読み込んでみよう」と思える曲でした。


あくまで個人的なコメントですが、こんな感じでしょうか。
あと個人的な点で、今年の課題曲は地味に初めてのことがありまして、
委嘱の福島氏を除き、公募で選ばれた4作品の作曲者がなんと全員おれより年下です。
これは地味にショック。おれもうそんな年とっちゃったの?今年で30だもんなぁ。
ていうか、委嘱枠はたちまち置いといて、公募入選者が全員20代ってのも課題曲史上初なんじゃないかなぁ。
昔よくあった、課題曲4曲中公募入選枠が1枠か2枠しかないみたいな年は除いてだけど。
いや、調べたわけじゃないので普通にあるかもだけど、
少なくともおれが現役で追いだしてから(2002年度以降)はなかったはず。
フレッシュでいいじゃないですか。
Ⅰの作曲者は普通にⅤとかⅣの作曲者とお知り合いだと呟いてた気がするし(尚美関係)、意気投合してそう。
ていうか尚美関係者すごいな!



ところで、2020年の課題曲の委嘱枠は宮川彬良氏に決まったらしいです。
これは非常に楽しみですね。
個人的にもいつか委嘱枠で来てほしかった作曲家の一人でしたから。

本人のメディア露出度のせいもあるのか、比較的ポップス色も強い作曲家ではありますけど、
ガチガチのクラシカルなのも書きますから。
課題曲ということでそっちで来るのか、
それとも課題曲というイメージを打ち破るハッチャケ系で来るのか、震えて待ちましょう。


で、前回記事で書いた当たり年うんぬんの件ですが、
おれ的には2010年代では一番の当たりかなーとは思います。
絶対的評価では悩むところですが、2010年代に限れば相対的には一番かな。
やっぱり各賞1位の曲(Ⅰ枠とⅤ枠)の出来がいいと一気に映えてくる感じはしますね。
5曲1組のパッケージが全体的に引き締まるというか。
あと、「この1曲さえ良ければなあ」のパターンの「この1曲」がマーチならまだしも、
非マーチがそれに該当しちゃうと一気に残念になるというのもあるあるかと。
やっぱり非マーチが1曲でもこけるとデカいよ。
(2010年度がそのパターン。うちなーのとこが良ければこの年は全体的にかなり良かったのでは。)

2010年度以外で全体的にいい線行ってる(逆に言えば惜しい)と思うのは、
2012年度(さくらのうた、よろこびへ…、じゅげむ、希望の空、香り立つ刹那。じゅげむが期待外れだった)かな。
2016年度は全部門枠の非マーチが2曲とも(スペインの市場、ある英雄の記憶)素晴らしい出来だったと思うが、
マーチがあんまりだったのとⅤ枠の印象が薄すぎて…。


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♪ #59: Appreciation / 槇原敬之



前回の記事のアップ日、12月31日だってさ。


2017年の。


1年以上ほったらかしにしてました。
その間ものぞきに来ていただいた方、どうもすみませんでした。

昨年4月に雇用形態が変わり、人生初のボーナスがもらえる身分になったのですが、
その分仕事も増えて忙しくなったせい……とは言いたくないのですが、
なんとなく億劫になってしまってました。

昨年は西日本豪雨でおれの生まれ育った町も甚大な被害を受け、
幼いころから慣れ親しんだ景色が一変、言葉を失うような壊滅的状況になってしまいました。
幸いおれの実家や姉一家の家は直接的な被害はほぼなかったようですが、
こんな形で自分の地元が全国ニュースのトップで連日報道されることになろうとは夢にも思っておらず、
改めて自然の前には人間がいかに無力かを見せつけられるばかりでした。
今もまだ避難生活を余儀なくされている方も多く、
そのような方にとってはまだまだあの災害の起きた日から時は止まったままなのかもしれません。
とはいえ、少しずつではありますが復旧に向けたニュースも耳にするようになっています。
失ったものは多いし完全に元に戻ることは叶わぬことでしょうが、
全ての人がまた前を向いて笑える日が来ることを願うばかりです。


あと昨年残念だったニュースといえば、なんといってもトップリードの解散、
というよりトップリード新妻の不祥事です。
何やってんだよ全く…。



さて、例年通り今年も2019年度課題曲のフルスコア集とCDの注文をし、
先日吹連HP上で冒頭1分の試聴ができるようになりましたが、
2019年はかなり久々に当たり年なニオイがプンプンしますよ。
冒頭1分の試聴段階で「なんかつまらなそうだな」と感じる曲が1曲もなかったのはいつぶりだろうか。
少なくとも2010年代では初めてですね。
個人的に現時点で最後の当たり年は2006年度(架空、一章、パルセイション、海へ、密度)だと思ってるので、かなり久々の感覚です。
スコアとCDが届いて全部聴けたときにどう思ってることでしょうか。

でもホントにここ数年、1分試聴を聴いても「ふぅん…」以上の感想がなく、
スコアとCDが届いて改めて全部聴いても「なるほどね…」となり、
スコア眺めながら聴くなんてのはその一回こっきりって曲も多かっただけに(特に行進曲)、
「もう当たり年は来ないんじゃないかも」なんて感じることもあったので本当に嬉しいし、今すごく楽しみです。
応募料1万円ぶんどるようになった効果かしら(笑)


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さて、平成が終わります。
ちなみにおれは平成と同い年。平成を愛し、平成に愛された男です。

というわけで、ありがとうそしてさようなら平成スペシャル企画!
平成の30年間を前中後の10年ごとにわけ、
それぞれの期間での課題曲を振り返ってみようと思います。
ただまあ、全部振り返ると大変なので、
3期ごとに個人的に好きな課題曲トップ10を選定してみようと思います。
(星マークは独断による難易度)




【前期: 平成1年(1989)~10年(1998)】 〔全41曲〕



それ以前も毎年委嘱作品以外の課題曲は公募で選出されていたが、
平成2年(1990)に朝日作曲賞の作曲コンクールが設けられ、
翌平成3年(1991)以降の公募入選による課題曲は全てこのコンクールで選ばれるようになった。

また、課題曲4曲すべてが全部門選択可能になった1978年から長らく続いてきた、
非マーチ曲2~3曲(A、B(、C))とマーチ1~2曲((C、)D)という組み合わせが平成4年(1992)で一旦終了し、
翌平成5年(1993)からはマーチ(奇数年)と非マーチ曲(偶数年)を隔年で交互に配置するというシステムに変更された。(平成19年(2007)まで)
それに伴い、ABC(アルファベット)表記だった課題曲のナンバリングは平成4年(1992)で廃止となり、
平成5年(1993)からは現在のⅠⅡⅢ(ローマ数字)表記に変更された。

上記のように、課題曲のシステム部分で大幅な変更がいくつかあった時期。
また、特にこの期間の後半の偶数年は、課題曲史上でも屈指の長い曲が集中しており、
その高い難易度とも相まって、以降の課題曲公募要項に影響を及ぼした(演奏時間の短縮化、難易度の抑制)とされる。

いわゆる駄作、凡作と感じるような曲もほとんどなく、
個人的には、昭和時代も含め課題曲史上一番の黄金期はこの時期だと思ってます。



〔1位〕 1992年 課題曲B: 吹奏楽のためのフューチュリズム (阿部勇一  /  ★★★★☆)

阿部氏のごくごく初期、というか出版されている中ではいちばん最初の作品なのではないでしょうか。
おれがまだウィンドで企画を担当する前、
当時の企画担当者から定期で採り上げる過去の課題曲で何かいいのないかなと相談され、
「フューチュリズムやりましょう!」と強く推し、実際に演奏したこともある。
多調かつ変拍子(規則的だけど)というややクセのある曲だが、
独特の拍感や旋律とバッキングの絡み、中間部の美しい歌い上げなど、
聴くだけでなく演奏していても楽しい曲。キツかったけどね。


〔2位〕 1994年 課題曲Ⅱ: パルス・モーションⅡ (川崎美保  /  ★★★★☆)

これも実際にウィンド時代に演奏したことがある。
こちらは自分が企画として採り上げた曲だったが、まあパートによって難易度や目立ち具合の格差が著しい譜面だった。
当時の感想にも書いたが、コンクールの場でチョイスするにはコワすぎる曲。
聴く分には楽しい曲だが、典型的な地雷曲。


〔3位〕 1989年 課題曲A: 風と炎の踊り (小長谷宗一  /  ★★★☆☆)

おれが生まれた年の課題曲。
4分ないくらいの短い曲なので、前半の「風」はともかく、後半の「炎」の踊りが一瞬で終わる。
5分とは言わないが、せめて4分半くらいにして、
炎の部分をもう少し長くとってくれたらなぁと思わないでもない。
低音、打楽器パートが楽しそうな曲。
旋律の絡みが非常に複雑で、スコア見ながら聴くとすごく楽しめる。
トランペット的には2回ある丸裸のソロが絶妙にイヤな跳躍で恐ろしい。


〔4位〕 1992年 課題曲A: ネレイデス (田中賢  /  ★★★★☆)

タイトルにネレイデスとある通り、水を思わせる表現が緻密で多彩な曲。
水面が揺れたり突如飛沫を上げたり、波紋が次第に間隔を広げ落ち着いていく様子などの描写が異様に作りこまれている、紛れもないプロの仕事。
8位のカタロニアもそうだが、昔の課題曲にはSサックスが標準編成に組み込まれているものが時々あり、
この曲も特に前半の緩部はサックスパートの豊かな表現力にかかっている。
3分半少々の短い小品(しかも前半2分弱はほとんどソリスティックな印象)ながら、短さやそれによる物足りなさを全く感じさせない極めて充実した内容。
とはいえ難易度はかなり高く、後半速くなってからはスコアも結構黒くなる。
動きが細かくダイナミクスレンジも要求されるので、確かな技術やパワーがないと曲にならない。


〔5位〕 1998年 課題曲Ⅰ: 童夢 (松尾善雄  /  ★★☆☆☆)

課題曲に採用回数単独1位の松尾氏(実に7曲!うち朝日作曲賞2回、朝日作曲賞(Ⅴ枠)1回)の作品。
2019年の課題曲Ⅰ(朝日作曲賞)は「あんたがたどこさ」をモチーフにした曲だが、
この童夢も作曲者コメントで「あんたがたどこさ」のリズムや歌い方に言及されている。
ちなみにこちらも課題曲Ⅰで朝日作曲賞だ。
実は中3のときにコンクール自由曲として演奏したことがあり、
それまで学校になかったハーマンミュートを買うきっかけとなった曲である。
予算の都合なのか各パート1つずつの3つだけだったが。
ちなみにこの曲も、この2年前の同氏による『クロマティック・プリズム』も、
トランペットはストレート、カップ、ハーマンという3種のミュートを全部使う。ミュートマニア歓喜。
ソロがあるパートがかなり多いくらいで技術的にはそこまで難しいわけではないが、
特に終盤はパワー、スタミナ切れを起こしやすく、とても疲れる。
クロマティック同様、低音、打楽器パートまで含めどのパートも楽しめる曲。


〔6位〕 1996年 課題曲Ⅳ: はるか、大地へ (上岡洋一  /  ★★★☆☆)

演奏時間というのは、団体ごとの細かいテンポ設定の違いによって多少は上下するものだが、
課題曲においては、そのトップ3はほぼ間違いなく饗応夫人、雲のコラージュ、そしてこのはるか、大地へである。
これらの中で順位の変動はあるだろうが、トップ3はほぼ確実にこの3曲である。
雄大な大地を思わせるのびやかでちょっとセツナ系の旋律が印象的だが、
主旋律より対旋律、バッキングの方が難しい曲で、
曲想のわかりやすさ親しみやすさに比して意外と手ごわい曲だったりする。


〔7位〕 1989年 課題曲B: WISH for wind orchestra (田嶋勉  /  ★★★☆☆)

課題曲にこれまで4回(非マーチ2曲、マーチ2曲)採用されている田嶋氏による最初の課題曲。
切迫した変拍子の中間部を、涙を誘うように歌い上げられるバラードでサンドした3部構成。
課題曲の田嶋作品としては飛びぬけて若いころの作品だけあって(次が2004のエアーズ)、粗さもを感じる部分もあるのだが、
このバラードのセツナ具合が実に好みで、個人的にはマーチ含めこの曲が一番好きだったりする。
間に8分休符を挟んだスタッカートつきの8分音符2つがスラーで繋がれている、という
地味に解釈、表現の難しい記譜が出てくる。


〔8位〕 1990年 課題曲C: マーチ「カタロニアの栄光」 (間宮芳生  /  ★★★★☆)

民俗音楽研究家である間宮氏の本領が存分に発揮された作品。
リディア旋法、ミクソリディア旋法などの教会旋法が使用され、異国感マックスの不協和音が妖しい魅力を放っている。
トランペットが酷使される曲の代表格で、オクターブを超える跳躍が平気で書かれており、
特に3rdは2拍の間で(9度上昇→オクターブ上昇)と、跳躍連続技、都合2オクターブ以上もの上昇を強いられる箇所もある。
ハイトーンも大概だが、そもそも課題曲でトランペットにローFなんか要求するかね…。


〔9位〕 1991年 課題曲A: 吹奏楽のための「斜影の遺跡」 (河出智希  /  ★★★★★)

記念すべき第1回の朝日作曲賞受賞曲にして、
これまでの同賞受賞曲の中で最難度の曲。譚詩より難しいと思う。
現代曲なんだけど、ロックのような推進力とエネルギーに満ち溢れた曲なので
比較的に聴きやすい部類の曲だと思う。
とは言え演奏する側にとってはとんでもない曲なのは間違いなく、
異国情緒感じる不協和音、細かい刻み、超速テンポ、ハイトーンなどなど、
難しい要素てんこ盛りの屈指の難関課題曲。
あと、この曲の最後の最後にあるトランペットソロは、
トランペットソロとしては個人的には課題曲史上一番難しいと断言できる。
わずか2小節のソロとは言え丸裸だし、
このクソ難しい曲の本当に最後の最後なのでプレッシャーも半端ないし、
何より譜面(目)と音源(耳)の印象が一致しないのでまず理解が追い付かない。
これまで何度も聴きながらスコアを追っているが、
その速いテンポとも相まって、一度もスッキリできたことがないのだ。

余談だが、この曲の英題は、『Stones in Time』である。
英題も作曲者自身がつけるのだが、なんだかわかるようなわからないような意訳だなあといつも思う。
邦題の「斜影」の意味するところは?などもそうだが、
こういう、「本意は作曲者のみぞ知る」みたいな背景を勝手に想像するのが好きだし楽しい。


〔10位〕 1997年 課題曲Ⅲ: 五月の風 (真島俊夫  /  ★★★☆☆)

この年の他のマーチ(ライジング・サン、夢と勇気…、ラ・マルシュ)がどれも若干クセのあるマーチだったせいか、
課題曲ではやや敬遠されがちなハチロクマーチにも拘らず、驚異的な人気を誇った曲。
あまりにも完成度と吹きやすさ親しみやすさのバランスが素晴らしかったためか、
このマーチの登場以降、
課題曲のハチロクマーチは常にこの曲と比較される運命を背負わされるようになった。
簡単に言えば、この曲と同じくらい好き、あるいは質が高いと感じたなら、
その時点でその曲はその人にとって当たり認定される。といった具合に。
それほど、課題曲のハチロクマーチの代表格と言える存在になっている曲。
ちなみに真島氏はこの曲含め課題曲には3回選ばれているが、
意外にもすべて公募入選による選出で、委嘱は一度もなかった。
もう少し存命であれば、もしかしたら数年後に委嘱されていたのかもしれないが…。




【中期: 平成11年(1999)~20年(2008)】 〔全46曲〕



課題曲システムに大きな変化があったのは平成15年(2003)。
この年から吹奏楽の発展を意図した(要は難しい現代曲の)課題曲Ⅴが新設されて選択肢が5曲になった。
とは言えこの時代の課題曲Ⅴはまだ大学・職場・一般部門限定の通称「18禁」であったため、
全国の吹奏楽演奏者の大部分を占める中高生には縁がなく、
曲名や内容はおろか、存在自体知らなかったという人も珍しくなかっただろう。
特に創設初年度の課題曲Ⅴである『列車で行こう』は、
地区予選まで広げても全国で演奏した団体はわずか数団体のみという(詳しい数字はわからないが、5団体もいなかったように思う)少なさ。
その後年を経るごとに徐々にⅤに挑む団体は増えていき、
最初からⅤ以外は興味ねぇと言わんばかりのチャレンジング精神溢れる団体もちょこちょこ見られるようになった。

この期間は最後の平成20年(2008)を除き、
マーチと非マーチが隔年で採用されていたので、
同じ年に4曲か5曲の行進曲、ないしは非マーチの曲が選択肢として配置されていたことになる。
現在のような、「一つの年にマーチと非マーチが2曲ずつ(と超難度の現代曲が1曲)」という形式より、
「選択肢が4つあるなら1曲はこういう曲があってもいいだろう」といったような、
冒険的な選曲(演奏者の段階でなく、公募審査の段階での選曲という意味)がしやすいのは明白で、
特に行進曲においては、現状のシステムより個性的、尖った曲がちょこちょこ選ばれていた印象。
一方で非マーチ曲に関しても、非常に粒ぞろいというか、上質の曲が揃っており、
偶数年はほぼ全て当たり年といっても差し支えない、恐るべき時期だった。

ちなみに、もしも川村昌樹氏の『風の島 ~吹奏楽のための詩曲~』が平成12年(2000)の課題曲になっていたならば、この期間どころか全課題曲の中でこの曲が1位である。



〔1位〕 2008年 課題曲Ⅳ: 天馬の道 ~吹奏楽のために~ (片岡寛晶  /  ★★★★☆)

上記現状のシステムに移行した初年度の課題曲。
和風なのか異国感なのかそれとも無国籍風なのか、ハッキリどれともいえない不思議な響きを感じさせる曲。
全編にわたって好きなのだが、その中でも個人的お気に入りは、
テンポ速い部分の、最初木管で演奏されていた主旋律がその後もっかい出てくるときに
今度は金管群のエネルギッシュで躍動感に溢れたカウンター旋律が一見主旋律に聴こえるところ。
ティンパニの合いの手も実に効果的でいちいちカッコいい!
場面転換が豊富かつハッキリしており、人によっては散漫、中途半端と感じるかもしれない。
打楽器専攻の作曲者らしく、打楽器の使い方や書き込みに並々ならぬこだわりが感じられ、
地味に打楽器パートがとても重要な役割を担っている。


〔2位〕 2006年 課題曲Ⅱ: 吹奏楽のための一章 (堀内俊男  /  ★★★★☆)

広島県東南部の某県立高校に在籍していた(当時)先生による作品。
(特にⅤ枠以外は)標題音楽が多い課題曲の中にあって、珍しいガチガチの絶対音楽。
でもカタクルシイ感じではなく、おもちゃ箱をひっくり返したような実に楽しい世界観で、
モチーフとしていろいろ変形、展開される「ッタラタッタッタンタン」の細かな音型も、
ちょっとコミカルで可愛らしい印象を与える。
かなり短い周期で(事実上の)転調を重ねており、そのせいで臨時記号の嵐。
普通はあまり見られない音と臨時記号の組み合わせ(Aに♯とか)だったり、
鳴る音自体は同じだけど、同じ箇所なのにパートによって記譜を変えて書かれて(F♯とG♭など)いたりと、
音楽上の都合ながら嫌らしい要素満載の曲。

この曲はおれが高校2年の時の課題曲なのだが、
当時通っていた高校がコンクール会場から近いこともあって、
自分たちの本番が終わった後の日程は、部員たち総出でスタッフとして駆り出されていた。
力のある男手は高校吹奏楽界では貴重なので必ず搬入口か搬出口に配置されていたのだが、
おかげで聴こうと思えばすぐ舞台袖に行って他団体の演奏を聴けたのである。
なので当時会場でこの曲を演奏する団体をかなり聴いたのだが、
短い序奏の後、テンポが速くなったとこのミュートラッパのあのフレーズを完全にきれいに吹けていた団体は一つもいなかったと記憶している。
その少しあとのホルン1stの信号ラッパのようなファンファーレも同様で、
こういった落とし穴が随所に登場するチョコザイな曲だったように思う。
でもなんだかんだで吹いてても楽しそうな曲ではあるとも感じる。
何度か出てくる、メインテーマのカウンターとなるトランペットによるファンファーレも
王道のカッコよさ。まさにトランペットの面目躍如といった感じ。
短いスパンでフレーズ同士が複雑に絡み合っているのでアナリーゼも曲作りも難しい曲だが、
何も考えずスコアを眺めるぶんには非常に面白い曲である。


〔3位〕 2002年 課題曲Ⅱ: 追想 ~ある遠い日の~ (岡田宏  /  ★★★★☆)

「poco rit.」の登場回数は課題曲史上おそらく一番多いのでは?
そういうテンポの揺らぎにより、繊細さ、心の揺れ動き、記憶の扉を開くような不安定で儚げな様子を描写しているのだろうか。
とにかく、不用意に触れるとハラハラと形を失い姿をなくしてしまうような、
とってもデリケートな緊張感が終始支配する作品。
課題曲にも泣きメロは数あれど、
この曲の、特に前半と後半に調を変えて2回出てくる、テンポが速い部分の旋律は
その中でも最もセンスを感じるものの一つだと思っている。
この音の次にこの音、そしてその次にこの音、という選択が常に最善手というか(それはいわゆる「完成度が高い」のだろうが、そういう表現ともまた違う気がする)、
聴き手の心をダイレクトに的確に突いてくるように思うのだ。
前に書いたことある気がするけど、そのテンポ速い箇所は、校正の参考演奏くらい落ち着いたテンポの方が絶対いいと思う。
楽譜通りのテンポだと忙しない印象で、
アルバムを開いて在りし日の出来事に想いを馳せるというより、
高層ビルから落ちちゃって地面に激突するまで走馬燈がサーっと流れていくような(あくまで例えです)音楽に聞こえちゃう気がしてなんとも…。


〔4位〕 2006年 課題曲Ⅰ: 架空の伝説のための前奏曲 (山内雅弘  /  ★★★★☆)

世の中可愛いは正義とか言われてるけど、やっぱり無条件でカッコいいも正義だよ。
形態としては前奏曲というより完全に序曲なのだが、そんなのどうでもいい。
「前奏曲」という語感のワクワク感、タイトルからにじみ出る厨っぽさも逆にカッコいい。
この曲はプロローグのウッドブロック+シロホンの乾いた硬質な響きや、
テンポ速くなってからのあのメインテーマなんかが印象的ではあるが、
個人的には中間部が一番好きだったりする。
中間部入ってすぐにAサックスとクラで奏でられるあのフレーズ、
ベタと言われようが、あのわざとらしいほどの泣きメロがタマランのですよ。
そのあと盛り上がって中間部のヤマでもっかいそのフレーズが再現される箇所で
トランペットとホルンにより放たれるカウンターがまた助演男優賞レベルに素敵でタマラン。
この平成中期の課題曲Ⅴを除いた曲の中では技術的な難易度が一番高い曲だと思う。


〔5位〕 2007年 課題曲Ⅳ: マーチ「ブルースカイ」 (高木登古  /  ★☆☆☆☆)

Trioの旋律が『パフ』に似ていると一部で話題になったマーチ。
中高生にも親しみやすい旋律、3分ないくらいの短い演奏時間、手ごろに取り組める難易度、
『K点を越えて』の流れを汲むお手本のような低グレード帯課題曲マーチである。
旋律は第1マーチも第2マーチもカッコいいというよりメロディアス寄りで、
爽やかで透き通った印象を強く与える。
テンポは少々速いものの、マーチ入門編として紹介してもいい良心的な譜面の割に、
意外と何度聴いても飽きないというのは地味に凄い。
曲とは関係ないが、当時作曲者のHPのプロフィール紹介で見た、
作曲者の名前の由来(登古でトウコ、男性)を見てすげえなあと唸った記憶がある。


〔6位〕 2000年 課題曲Ⅲ: 胎動の時代  ー 吹奏楽のために (池辺晋一郎  /  ★★★☆☆)

形だけ完成させるなら委嘱枠の曲にしては技術的にも曲想的にも割と取り組みやすい部類の曲だと思うけど、
後半の速い部分含めて終始緊張感をピンと張りつめていないので精神的にキツそう。
ソロが多いのと、全体的に音が薄く書かれているのが敬遠されがちなポイントかな。
後半速い部分の伴奏3連符は自分が吹く側だと考えると嫌になる。
典型的なスルメ曲で、聴けば聴くほどどんどん新たな発見ができて楽しい曲。


〔7位〕 2006年 課題曲Ⅴ: 風の密度 (金井勇  /  ★★★★★)

個人的にこれまでのⅤ枠で一番好きな曲。
現代曲らしく意味不明なんだけど、なぜか妙な味わいがあって好きなのだ。
旋律同士の絡みはなく、1本の旋律を分割し楽器・パートごとに細かく受け渡して繋げていくという、
一見単純ながら実はとんでもなくハイレベルなことを要求してくる。
上へ下へと結構変な跳躍が連発するし、臨時記号だらけだし、
受け渡しが不自然に聞こえないよう奏者全員で足並みを完璧にそろえて初めて形になる曲。
打楽器が地味でなく普通に重責を担う。


〔8位〕 2004年 課題曲Ⅳ: 鳥たちの神話 (藤井修  /  ★★★☆☆)

場面転換がはっきりしており、それぞれに違った鳥の様子が見える楽しい曲。
最初と最後の讃歌っぽいコラールや、
前半少し経ったところの高温木管主体の、森の中の囀りみたいな箇所も美しいしかわいらしいが、
この曲はやっぱり何と言っても後半の、
マリオの地下ステージみたいな低音の轟きで幕を開ける箇所でしょう。
巨大な怪鳥の出現を思わせるあそこからの展開は、血沸き肉踊り、エキサイトすること請け合いだ。
一見リズムがとり難そうな譜割りだが、実際にはそこまでの難しさではないと思う。
ただ、底知れないパワーとスタミナは絶対必要でしょうね。
トランペットなど全く休みなく吹きまくった後そのまま終盤のコラールに突入ですから。
冒頭のユニゾンコラールも含め、トランペットの負担とプレッシャーが半端じゃない曲。


〔9位〕 2003年 課題曲Ⅲ: 行進曲「虹色の風」 (松尾善雄  /  ★☆☆☆☆)

ブルースカイと同様、入門編にも使える低グレード帯課題曲マーチ。
改めて見ると、意外と演奏時間が4分近くあることに驚く。
何の変哲もないマーチと言えばそうかもしれないが、
旋律、オブリガード、リズムそれぞれに無駄がなくスッキリしているぶん、
舐めてかかると粗が丸見えになってガタガタになる危険性も持っている。

余談だが、平成15年(2003)の課題曲は、
マーチのみの年としては史上最も難易度バランスがとれ、
タイプの違うバリエーション豊かなマーチが揃った曲構成になっていると思う。

Ⅰ:ウィナーズ……2拍子のコンサートマーチ。短調。旋律が複雑に絡み合う、上位バンドにとっても練習し甲斐のある難曲。
Ⅱ:イギリス民謡による行進曲……2拍子マーチ。歌モノ系でややアンニュイ。歩こうと思えば歩ける。あー、いかにも高橋宏樹がやりそうなネタだなってテーマ。ほどほどのグレード。
Ⅲ:虹色の風……2拍子の歩けるマーチ。明快でリズミック系。非常に取っつきやすい曲想で落ち着いたテンポ。
Ⅳ:ベストフレンド……4拍子マーチ。流れるようなメロディアス系。速いが歩こうと思えば歩ける。オブリガード楽しい。取り組みやすいグレードながら、4拍子の歩ける課題曲マーチとしては史上屈指の完成度。
Ⅴ:列車で行こう……4拍子マーチ。超難度でリズミック系とメロディアス系が混在。歩こうと思えば歩ける。パートによって難易度が大きく変動、最高難度は多分トランペット1st。

欲を言えばⅡかⅢのどっちかがハチロクマーチだったら最高だったかな。
でもマーチのみの年としては一番の当たり年だったと思う。
いや、平成11年(1999)の4曲(グリーンフォレスト、レイディアント、エンブレムズ、K点)もかなりバランスが絶妙で甲乙つけがたいな……。


〔10位〕 2004年 課題曲Ⅴ: サード (田渕浩二  /  ★★★★★)

課題曲Ⅴ創設後、非マーチとしては最初の曲。
ゆえにまだ最近のⅤ枠ほどはゲンダイオンガクという感じではなく、まだ多少は理解できる曲想に落ち着いている。
一聴するとⅤ枠にしてはそこまで難しくなさそうな印象を受けるが、
この曲の難しいところは、奏者一人ひとりがソリストにならなければならない点にある。
もちろん事実上そうということではなく、そういう風に演奏すべき曲であるということだが。
そういう意味では、平成8年(1996)の『管楽器のためのソナタ』に近いといえる。
もともとピアノ曲として作ったものを吹奏楽編成に書き換えたようなのでそうなったのだろうが、
音も薄くて緊張感MAX。現代曲なだけに多調で書かれているが、
旋律が繊細で美しいだけに濁らず聴かせるのが余計に難しく、極めて地道かつ緻密に音作りをしなくてはいけない。




【後期: 平成21年(2009)~30年(2018)】 〔全50曲〕



平成21年(2009)から、それまでは大職一部門しか選べなかった課題曲Ⅴが
高校の部に対しても門戸が開かれるようになった。
解禁初年度の課題曲Ⅴが現代曲としては比較的取り組みやすいレベルの曲だったこともあり、
待ってましたと言わんばかりに、全国の高校、特に上位バンドを中心にこぞって採り上げ、
以降の年も、結構低くない割合の高校がⅤに取り組んでいる。
特に若い世代が昔に比べると現代曲に触れる、演奏する機会が増えたのは、
そういった曲の増加というだけでなく、こういった課題曲のシステムも大きく寄与している。

ただ個人的には、課題曲全体の質としては下降気味と感じる期間でもある。
特に非マーチの曲に、これまでほど出色の作品がないなという印象がある。
だいたい2年ごとに1枠ある有名作曲家への委嘱作品も、
この期間のものは地味だったり尖りすぎてあんまり馴染めなかったり、
この人にしちゃ期待外れだなと感じてしまったりするものが多いとも思う。
結果的に、この期間の課題曲はマーチ含め、好きな曲とそうでない曲の差が大きい傾向がある。




〔1位〕 2016年 課題曲Ⅲ: ある英雄の記憶 ~「虹の国と氷の国」より (西村友  /  ★★★★☆)

これはカッコいい。問答無用のカッコよさ。
実にヒロイックで分かりやすく、華もあるタイプの課題曲。
幼稚園で園児が作ったオリジナルストーリーの劇に、
「こんないいストーリーの劇に既存の曲をあてるのは勿体ない。じゃあいっそ俺が曲を作る」
なんつって書いた曲を、その後4分少々の吹奏楽曲にまとめて公募入選とか、
なんかもうその経緯で1時間の番組作れそうだわ。ていうか見たい。
低音、打楽器パートも満遍なく楽しそうな曲だが、
ラッパ吹きとしてはやっぱり終盤の『Soar!』からだよね。
ここはもう自分こそ最高のソリストなんだと自惚れて吹くくらいじゃないとウソだね。
そのままの勢いで最後まで突っ走り、最後の3連符(低音だけだけど)でカッコよく締める。
言葉はいらない。ただシビれるのみ。
とは言え特に後半テンポが再び速くなってからは、トランペット基本ずっと吹きっぱなしなのでかなりキツイんだろうな。


〔2位〕 2014年 課題曲Ⅱ: 行進曲「勇気のトビラ」 (高橋宏樹  /  ★★☆☆☆)

個人的には課題曲マーチ史上一番好きまである。(実際にはかなり悩むが)
何と言っても、「歩こうと思えばまあ」ではなく「当たり前に歩けるマーチ」でこれってのがデカい。
コンサートマーチならある程度テンポ的、表現的自由度もあるけど、
歩くためのマーチでダサさを感じさせず耳心地のよい、かつどんなバンドでも取り組める曲を書こうと思ったらどれだけ大変か想像に難くない。
(別にコンサートマーチのほうが書くのは簡単だよねとか言いたいわけではないですよ)
あと、この曲を初めて聴いたとき、「ああ、実に高橋宏樹だな」って思ったんだけど、これも凄いことで、
この若さで既に自分のスタイルを確立しているともいえる。
個人的に高橋宏樹は、100点はないけど安定して85点を叩き出すタイプだと思っており、
例えば7月ごろに発表される次年度の課題曲5曲の中にこの人の名前があれば、
「あ、とりあえずこの曲は大丈夫だな」と思える存在。
まさに安心と信頼の高橋宏樹作品といえる。

ちなみに高橋氏の課題曲作品はこれまでに4曲ですべて行進曲。
2003年 Ⅱ 『イギリス民謡による行進曲』(2/4拍子マーチ)
2005年 Ⅲ 『ストリート・パフォーマーズ・マーチ』(4/4拍子マーチ)
2010年 Ⅱ 『オーディナリー・マーチ』(2/2拍子マーチ)
2014年 Ⅱ 『行進曲「勇気のトビラ」』(6/8拍子マーチ)
見事に拍子グランドスラム達成。一般的にマーチの拍子はこの4パターンなので、
高橋氏のことだから恐らく(間違いなく)狙ってやったんでしょうね。



〔3位〕 2010年 課題曲Ⅰ: 迷走するサラバンド (広瀬正憲  /  ★★★★☆)

これはかなりのスルメ曲だと感じる。
この曲が出た当時は実はあまり真面目に聴いておらず、数年経ってから面白さに気付いたのだ。
主部はテンポがかなり速く、その中で3連符を執拗に要求される(しかも同じ音が多いので慣れるまで合奏中に迷子になること請け合い)ので、
ある程度音楽的偏差値の高い団体でないと形にすらならない。
また主部は5拍子なのだが、これが3+2になったり2+3になったりで指揮も大変そう。
モチーフの変容(迷走)はさすがに多彩で美しいものがあるが、
そこに至るまでには数多くの演奏者による迷走は避けて通れないだろう。


〔4位〕 2012年 課題曲Ⅳ: 行進曲「希望の空」 (和田信  /  ★★☆☆☆)

この曲を聴いた当初、個人的には『五月の風』を超えるハチロクマーチ来たんじゃない?と思ったものだ。
明朗でシンプルな曲想だが、よくある課題曲マーチとは違う安定感をも感じさせる佳作。
この曲に関してはティンパニがオプション扱いなのが謎で、まあ打楽器パートの割り当ての都合なんだろうが、
それにしちゃ大阪市音(当時)による参考演奏では、
小編成で書かれている曲は小編成で演奏する(オプションパートは抜いて演奏する)という
参考演奏収録時の従来のルールを破ってティンパニ入れて演奏してたもんなぁ。
そりゃティンパニないとTrio明けブリッジから最後のマーチに移る時のあそこサマにならないけど、それならなぜ……と。


〔5位〕 2017年 課題曲Ⅱ: マーチ・シャイニング・ロード (木内涼  /  ★★☆☆☆)

最初に聴いたときはよくある課題曲マーチのうちのひとつとしか感じなかったが、
何度か聴くうちに実はなかなか侮れないクオリティの曲だと感じるようになった。
具体的に何故そうなのかはわからないが、
和音進行だったり展開が極めて自然なのかなとか思ったり。
どちらかと言えば薄めに書かれているが、その分無駄がなくスッキリとした印象を与える。
また、リズム的対位法というか、絡み合う旋律同士の性格の違いがクッキリしていて互いに引き立てあって聞こえるのも好印象。
さわやかで親しみやすい曲想も素晴らしく、全部門に通用する良いマーチだと思う。


〔6位〕 2017年 課題曲Ⅰ: スケルツァンド (江原大介  /  ★★★☆☆)

これもどちらかと言えば自分的にスルメタイプだった。
初めて聴いたときは、「あれ、もう終わり?」と少し物足りなさを覚えたのだが、
1年以上経って真面目に聴くと楽しさに気付いた。
物足りないととるか無駄がないととるかは相変わらず微妙だけど、
スッキリ整理された書きぶりは潔さを感じる。
あと、江原氏がこういうタイプの曲を書くのは少し意外だった。


〔7位〕 2009年 課題曲Ⅱ: コミカル★パレード (島田尚美  /  ★★★☆☆)

これはウィンド入団直後のコンクールで実際に吹いた曲。
その時は特に思わなかったのだが、結構独特なマーチだし、実はなかなか難しい部類の曲だなと。
割と薄い書き方がされているし、動きが複雑に絡まりあったり、
主旋律にあたるパートが頻繁に入れ替わったりする箇所もあるので
パート間のバランス調整に難儀しそう。
テンポに関しても、リズミックで細かい音符での動きも多い第1マーチ(および再現部)は走りやすく、
レガートでのびやかな旋律のTrioは間延びしやすい譜面になっている。
よくある課題曲マーチとは似ているようで一線を画す、小洒落た雰囲気のマーチと言える。


〔8位〕 2016年 課題曲Ⅰ: マーチ・スカイブルー・ドリーム (矢藤学  /  ★★☆☆☆)

全国に数多存在する日曜作曲家たちの希望の星。
作曲者のホームページの熱心な読者だったおれも祝福の気持ちでいっぱいだった。

だったのだが、この曲の採用により作曲者によるホームページが一時閉鎖され、
この曲が課題曲として役目を終えたころに復活したものの内容が大幅削減されており、
それまでの記事内容がすべて消されていたのが残念でならない。
しかも復活後の記事は主に自作曲の紹介くらいで、従来のようなマイナー曲の解説とか
マニアックな視点による考察とか、そういうのは一切なくなってしまった。
作曲者と無関係の人間からすると、こんなことになるくらいなら入選して有名になってほしくなかったなと本気で思ってしまう。
響宴の無名作曲家による作品紹介記事とか、歴代課題曲から理想の組み合わせを考える記事とか、
天馬の道の速い部分は本当に3拍子でよいのか検証する記事とか、
をどり唄の最後の和声について考察する記事とか(これに関しては初めてをどり唄を聴いたときに最後の和声に違和感を持った記憶があるのですごく興味深く読んだものだ)、
その他にも色々興味深く読ませてもらい、とても楽しくそして勉強になったのだが…。


〔9位〕 2018年 課題曲Ⅱ: マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ (一ノ瀬季生  /  ★★☆☆☆)

最初聴いたときは、なんとなく時代を感じる音がするなと感じた記憶がある。
決して古臭いなというマイナスイメージとかではないのだが、なんとなく。
Trio後のブリッジが少し平坦な印象で、そのせいで第2マーチが3連続で演奏されているように聞こえてしまうのが少し勿体ない気がする。
旋律自体は少しずつ変化を見せてはいるのだが…。


〔10位〕 2014年 課題曲Ⅰ: 最果ての城のゼビア (中西英介  /  ★★★★☆)

ぶっちゃけ中間部の速い部分を聴きたいがために聴いている(!)
とは言いすぎだが、それだけそこが際立った出来であるということだ。
「映画の予告編のような」と作曲者が語る通り、音楽がブツ切りに聞こえる感じは否めないが、
それにしても人気なかったなぁ。
まあ取っつきづらさに加えてチョコザイな譜面で難しかったせいもあるのかな。
旋律がハッキリとしてなくいろんなパートのいろんなフレーズが組み合わさって初めて1本の旋律に聴こえるタイプの曲な分、
何曲か候補残してある程度練習して合奏して、
最終的にどれやるか決めるような団体には選ばれづらかったのかもね。

クラシック界、吹奏楽界ではだいたい批判的なニュアンスで使われる「ゲーム音楽風」音楽で(個人的には、「ゲーム音楽の何が悪い!」)、
タイトルとも相まって西洋ファンタジー的な世界観なのかと思いきや…?

詳しくは、作曲者自らが曲の背景について詳細に書き綴っているサイトがあるので、
興味を持たれた方は是非一読されることをお勧めします。
こうした実際の作曲者によるコラムは、課題曲マニアとしてはとても嬉しいもので、
他の先生方もどんどん公開してくれるといいなあと思っている。




以上、これにて平成終了記念企画は終わりです。
次の投稿はいつになるやら。

辞めはしませんのでどうかたまに覗きに来てやってください。

♪ #56: 遠い世界 / アクアマリン


前回記事のタイトル、今回のに使えばよかった。
(一応、記事の内容と少しでも関係のある内容のものを選んでいます)


こんにちは。
PCがもう満身創痍なので、記事書きながら何度もタブ開き直しによる文章消滅の洗礼を浴びました。
こまめに保存しながら書いていたのですが、もうすごくイラついて仕方ない。
長々書いた前置きも全部消えてしまったのですが、
本編とは関係のない雑談なんで、もう書き直すのやーめた。心折れました。


さて、今回は前回予告した通り、
「採りあげたかったけど、結局できなかった曲」を挙げてみたいと思います。
中には難易度的な問題で初めから無謀、絶望な曲も混じってますが、
あくまで、「やりたい」という点に重視したラインナップになっております。

それではいってみましょう。



■ 過去の課題曲


まずは定期の第1部で毎年1枠ある、過去の課題曲の中から。
とはいえオレの在任中3回あった定期のうち、過去の課題曲から選んだのは1回だけ(第26回の『パルス・モーションⅡ』)で、
残り2回は、「公募入選しながらも課題曲には採用されなかった曲」を選んだのだ。
オレが企画になったらここに一番こだわるだろうと思っていた団員もいたかもしれないが、
こだわりすぎた結果がこれである。あさっての方向。
風の島もアルマリブレも、オレじゃなかったら100年経っても採りあげられないと思うので、
(アルマリブレにいたっては多分5万年経っても採りあげられてない。実質楽譜なかったわけだし)
これらに走ったことについては後悔してないし、個人的には満足しているが、
まあこんな風にこだわりすぎて、肝心の課題曲自体をパルスしかできなかったのもまた心残りである。

そんなわけで、自分が今後も企画を続けていたら採用したかった課題曲を挙げてみる。


① 吹奏楽のための協奏的序曲 (藤掛 廣幸  1976年課題曲B)

作曲家・藤掛廣幸の作品は、過去3度課題曲に選ばれている。
この曲と、『白鳳狂詩曲』と、『ロックン・マーチ』。
いずれも人気が高く、白鳳やロックンマーチは今でも時々採りあげられてるのを目にする。

ところでオレが藤掛廣幸という作曲家に初めて興味を持ったのキッカケは、吹奏楽ではない。
この作曲家、マンドリンオケの作品も多数発表しているのだが、
その中に、『星空のコンチェルト』という曲がある。
昔、まだ中学生だったころによくJ研という着メロを自由に投稿したり視聴したりできるサイトに入り浸っていたのだが、
その際にどうやってたどり着いたのか、この曲の着メロを耳にしたことがあり、
一瞬でその世界に引きこまれたのである。
遥か高い天空を彩るようなキラキラしたマンドリンやマンドラ系の独特の味わいもさることながら、
ひとつのモチーフを緻密に絡み合わせ(フーガ)、
無限の世界を表現するような奥行きのある音楽にハッとした記憶がある。

で、今から思えばこのようなフーガこそが藤掛作品の大きな特色なのだろうと思うのだ。
そう思えた大きな要因となったのが、この『吹奏楽のための協奏的序曲』である。
序奏部に続いて現れるフルートのソリスティックな旋律、
そしてそれを起点にして他の楽器が徐々に加わってゆく構成…。
これはかつて聴いたあの『星コン』をまさに思い起こさせる作り。
実際初めてこの曲を聴いたとき、
≪星空のコンチェルトに雰囲気が似ているな≫
と思ったのだ。(この時点ではまだ『星コン』=藤掛作品というのは知らなかった)

冒頭のホルンファンファーレや前述のフーガ部など、決して簡単な曲ではないし、
それ故に当時敬遠されがちで思い出補正的なものもなく(そもそも当時を経験した世代がもう少ない)、
今更この曲を採りあげるメリットは実際あまりないのかもしれないが、
時代の古さで知名度が低いだけで、未だに語り継がれる名課題曲の一つだと思う。
オレがかつて感じた、琴線に触れるあの感覚を感じてくれる人がいるかもしれないと考えると、
この曲をいまだ諦めきれないのである。






② 渚スコープ (吉田 峰明  1987年課題曲B)

すごくキレイな曲なんですよ、コレ。
課題曲にはあまりないタイプの曲なんだけど、
セピアな匂いを醸しつつも、フランス的な抒情性、色彩的な面を感じさせて実に洒脱。
個人的にもすごく好みのタイプで、
世間の評価も「隠れた名曲」というのが大方のようだ。

では、こんないい曲がなぜ「隠れた名曲」なのか。
課題曲というのは、吹奏楽人ならご存じの通り、
課題曲Ⅰ(昔のA)のパート譜の裏面に課題曲Ⅱ(昔のB)のパート譜が印刷されており、
同様にⅢ(C)の裏面にⅣ(D)、となっている。
で、この渚スコープ(課題曲B)の反対側には何が印刷されていたか、
答えは1987年課題曲Aの『風紋』である。
あの課題曲史に残る名曲とされる曲の裏面に、文字通り隠れてしまったのだ。
そんなわけで影が薄くなってしまった……は言い過ぎかもしれないが、
でもこのままひっそりと消え行くには惜しすぎる曲であるのも事実。
情緒的ながらも、全体的にソリスティックかつテクニカルな演奏が要求されるので、
コンクールの場でなくとも選ぶのに勇気がいる曲なのは間違いないが、
こういう作品こそ大人のバンドが本気で取り組むべき一曲であると言えよう。






③ ネレイデス (田中 賢  1992年課題曲A)

この曲は、もう何年か企画を続けていたら確実に選んでいた。
だが、少し時間を置く必要があったのも事実。
その理由は、まず同じ年のフューチュリズム(阿部勇一)をオレが企画になる前春の定期でやっていたから、
そして田中賢の曲で他にやりたい曲があったからである。
後者については、実際一度定期のプログラムに入れようとしたことがあるのだが、
諸事情により却下されてしまったので、
結果的に二兎を追って共に逃がしてしまった形となった。

「ネレイデス」とは、ギリシャ神話にでてくるネレウスとドリスの間にできた美しい娘たち(ニンフ)のことで、
この曲では海のイメージの象徴として名づけられている。
作曲者がかつてエーゲ海に浮かぶギリシャの島々を船でまわった経験から着想を得て作曲したというこの曲は、
船のデッキから見える刻々と変化していく波の姿や、
海の中に潜ったときの神秘的で魅惑的な美しい様子といったエーゲ海での感動的な体験を描いているのだという。

サックスを中心とした前半の「緩」の部分は、
アゴーギクやアインザッツといった、繊細な「揺らぎ」の表現が、
9/8拍子と3/4拍子が混在する後半の「急」の部分は、
ダイナミクスのメリハリと細かいパッセージへの丁寧なタッチがそれぞれ要求され、
技術・表現の両面において難易度も高い部類に入るが、
たった4分という短い小品的性格を持った曲ながら、
それを感じさせない密度の濃さと、既に熟練されている作曲者の手腕が光る逸曲。
これもどちらかと言えば大人のバンドだからこそ取り組みたい曲。






④ アルビレオ (保科 洋  1998年課題曲Ⅲ)

1998年と言えば、『童夢』と『稲穂の波』が大人気。
一方で半分ネタみたいな曲ながら、どんなレベルの団体をも受け入れる懐の深さを持った(?)『ブラジリアン・ポートレイト』も、
確かな存在感と強烈なインパクトを残した。
そんな3曲に囲まれ、ある意味では割を食ってしまった形になったのが、
保科洋氏への委嘱作品であるこの『アルビレオ』である。

アルビレオというのは、はくちょう座β星の固有名である。
代表的な二重星としても知られており、
金色の三等星と、青色の五等星がちょうど重なるように位置している。
その色合いからそれぞれトパーズとサファイアにも例えられ、
この一対は「天上の宝石」とも呼ばれており、
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』にも、

≪眼もさめるやうな、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとほった球が、輪になってしづかにくるくるとまはってゐました≫

なんてとりあげられている。
で、この曲である。
この曲は、性格の異なる二つのモティーフが、
あたかもアルビレオのように絡み合って進行していく構成となっている。
ということでこの曲は専らそれら二つのモティーフをどのような色に演奏し分けるか、
という点が基本かつ最大の課題(解釈および表現のポイント)となっている。
モティーフの片方はスタッカートとシンコペの効いた上昇音形、
もう一方はスラーでレガートの効いた下降音形という、まさに教科書的な対比。
愚直なまでに課題曲の何たるかを踏まえた作りで、さすが巨匠の仕事。

急緩急の急の部分、二つのモティーフの掛け合いを中心とした部分もいいのだが、
個人的には中間部のウットリするような、なんだか夢の中を漂っているようなあの独特の雰囲気がたまらなく好きなのだ。

ちなみにこの「アルビレオ」という星、
二重星という大きな特徴から他のジャンルや作品などでも題材にされることが多く、
例えばオレの好きなアーティストであるアクアマリン(天体や星座、自然、旅などを扱った歌を作る)は、
「Albireo」という曲を、結婚する知人のために作っている。
二重星であるこの星を、巡り合い、一緒になる二人に重ねているというわけだ。






⑤ 追想 ~ある遠い日の~ (岡田 宏  2002年課題曲Ⅱ)

ここらへんになると、オレもさすがに「当時を知る」時代になってくる。
とはいってもまだ2002年、中1なのでラッパを初めてまだ数年、コンクールに至っては初である。
この年の課題曲はどれも好きなのだが、
この追想は、「聴くにはいいけど…」って曲の筆頭だと思う。
実際に演奏した人が口を揃えて言うのは、「薄い」ってこと。
もちろん内容が、じゃなく、オーケストレーションが、ってことだ。
なんだけど別にパルスモーション同様、コンクールで演奏するわけじゃないし、
多少のリスクを抱える曲でも、昔から憧れる曲に挑んでみたいと思うのは当然の感情で、
それはこの曲に対しても変わらない。
コンクールじゃない(時間制限がない)からこそ、
当時のコンクールで続出した、時間を気にするあまり走りまくった演奏でない、
もっとこの曲の持つ魅力である「間」や「フッと音の消える瞬間」を楽しめる演奏が作れるのではないかと思うのだ。

※楽譜の指定テンポからいえば、むしろ東京佼成の参考演奏(下に挙げてる音源)が遅いくらいなのだが、
あれは公募の時点で時間を少しでも短くするために作曲者がやむなく指定テンポを上げたためで、
佼成の演奏テンポくらいがむしろ作曲者の本意なのではないか、とオレは思っている。







■ 課題曲以外


引き続いて、過去の課題曲以外の曲から。
⑫を除いて、すべて定期の第1部に組み込むことを想定した選曲となっています。


⑥ グローバル・ヴァリエーション (N. ヘス)

タイトルに「ヴァリエーション(ヴァリエーションズ)」(=変奏曲)とつく有名な曲が、吹奏楽には3つある。
『フェスティバル・ヴァリエーション』(C. T. スミス)
『セント・アンソニー・ヴァリエーション』(W. H. ヒル)
そしてこの『グローバル・ヴァリエーション』だ。
前者2つは、強豪校、強豪団体がコンクールや定期でちょくちょく採りあげているのを見るが、
『グローバル…』はそれら2曲に比べると、目にする耳にする頻度が極端に少ないような気がする。
だがオレは3曲の中でこの曲がダントツで好きなのだ。
難易度の問題ではないだろう(3つとも普通に難曲、むしろグローバルが一番マシ)。
考えるに、それはひとえに「使用打楽器の多さ」に起因しているものと思われる。その数実に30以上!
もちろん実際には別の楽器で代用できたり、簡単に手作りできたりするようなものもあるのかもしれないが、
使用楽器欄に羅列されている名前だけ見ても、
それがどんな楽器なのかすらわからないようなのがチラホラ。
これじゃあさすがにリスキーすぎて楽譜購入に踏み込めないってもんです。
他に、楽器欄には記されていないが、音源によっては(多分スペインの場面で)
アコーディオンだかバンドネオンだかの音が聴こえてくる場面もあったり……。

ただし、そこの問題さえクリアできれば、
難易度的にはウチの団体でもすげー頑張ればなんとか完成させられるはず。
個人的にすごくやりたかったことに加え、
最近になってどうも団員の中でこの曲を昔からやりたがってた人がいたらしき情報もあり、
しかもその人が問題の打楽器奏者ということで、
全面的に前向きな検討を得られそうという意味で、前述の問題もなんとかなったんじゃなかろうかという思いが今になって……。
ああ、悔しい。

この曲は、簡単に言えば
≪ロンドンを起点とした世界一周の旅≫ がコンセプトになっている。
冒頭、「学校のチャイム」としても有名な「ウェストミンスター宮殿(ビッグベン)のチャイム」がチュブラーベルによって再現され、旅は始まりを告げる。
その後、
フランス→スペイン→南アフリカ→エジプト→ロシア→インド→中国→オーストラリア→南アメリカ→アメリカ合衆国と順番に旅していき、
最後はアイルランドとスコットランドを経由して、イギリスに帰ってくる(ラストにも冒頭同様のチャイムがある)、といった具合。
わずか9分間の世界一周旅行というわけだ。
ちなみに出発地と帰着地がイギリスなのは、作曲したヘスがイギリス人だからである。

音楽に造詣が深い人でなくとも、
国ごとにその国を想起させる曲調、旋法、楽器が用いられており、
また「ヴァリエーション」の名の通り、恐らくはその国に実際ある曲を模したと思われる旋律もあり、
演奏する側だけでなく聴く人も大変楽しめる曲である。
国ごとのメドレー、あるいはオムニバスのような構成と思われるかもしれないが、
一曲を通してのメリハリやドラマチックな展開もしっかりと用意されており、
非常に内容の濃い銘曲。これできたら楽しかっただろうなぁ…。






⑦ スパークリング・ダイヤモンドダスト (飯島 俊成)

全体に透明感が感じられる、清冽な北の大地の雰囲気がよく出てる曲。
印象的なパッセージやコラールがないので、どことなくつかみどころのない曲ではあるけど、
非常に繊細で緊張感の漂う、慎ましやかな(だがそれがいい)音楽。
終始木管中心に進む曲なので、ラッパ吹きの自分としては少々もどかしいのだが、
その分木管の持つ特性が存分に発揮されており、とても優美で綺麗な仕上がりとなっている。

難点を挙げるならば、レンタル譜であること、ピアノを使うこと、
そして演奏時間が6分程度と、定期のメインに据える曲としては短いこと、
けどメインじゃない曲として考えると難易度が高めであること、かな。
せめて難易度がもう少し下がれば、メインの前の小品的なポジションにピッタリなのに。
というあたりで、使いどころが難しい曲ではある。
コンクールの自由曲としてならカットもしなくていいしこれ以上ないセレクトだと思うけどね。
あ、あとはわかりやすいドラマチックな展開、激しい部分が最後の最後にしかないので、
6分という短さもあいまって人によっては、「え?もう終わり?」みたいに感じちゃいそう。

それにしても飯島俊成って、響宴でも常連と言えるほど作品出してるのに、
なんかイマイチ人気ないっていうか、流行らないんですよねぇ…。
だからこそ採りあげたかったってのも大きかったんだけど。
00年代以降持て囃されてる「ガンガン鳴らせ」系音楽に逆行するような、
なんていうか「侘び寂びを弁えた」音楽性や独特の哀愁があって、個人的には大好きなんだけど。


⑧ ラスベガスを喰い尽くすゴジラ (E. ウィテカー)

イケメン作曲家ウィテカーと言えば、ほとんどの吹奏楽人にとっては「ゴースト・トレイン」であろう。
実はこれも地味にやってみたい曲の一つだったりする。
この『ラスベガス…』を初めて知ったのは高校生のときだっただろうか。
最初はもちろんそのタイトルのインパクトに興味を持った。
きっとケレン味たっぷりのイロモノ系の曲なんだろうな…なんて思いながら聴いてビックリ。
いや、確かにケレン味はすごいし、イロモノかと言われれば吹奏楽界きってのイロモノですわな。
ただ、なんだこの尋常じゃないカッコよさ。
当時はまだ、大学以降一般団体で吹奏楽を続けるかどうかは別に考えちゃいなかったけど、
大人の団体に入ったら、こんな曲をクールに演奏したい、演奏できたらカッコいいだろうな~
なんて憧れを膨らませていたものだった。

この曲はまさにタイトル通り、
ゴジラがアメリカに上陸し、コンサート会場を急襲、さらにラスベガスを襲う模様を、
様々な特殊奏法や普通の楽器以外の音響効果(人の声含む)をも駆使して描写した、
「The USA」感溢れる大スペクタクルのシンフォニーである。
ゴジラ襲撃の場面の描写なんて、
けたたましい自動車のブレーキ音やクラクション、逃げ惑う人々の喚声など、実にカオスで楽しい。
この曲の前年に作曲されたゴーストトレインに見られた、
ジャズの要素を取り入れたたいへんユニークな音楽づくりはこの作品にも生きており、
ブロードウェイっぽい華やか系、場末のバーでかかっていそうなダウナー系、
「トムとジェリー」に代表されるアメリカのカートゥーンの劇伴で流れてそうなコミカル系、
あるいは刹那的な感情の起伏を描写したようなSE(効果音)系などなど、
ジャズを中心とした、実に多様なオシャレ系ミュージックの宝庫である。

もちろん、ゴーストトレイン同様、難易度は非常に高い。
ウチの団で採りあげるなんて非現実的だろう(というかそこらの一般団体ではまあ無理でしょう)。
ただ、高校時代に抱いた一般団体への憧れはまだオレの中に燃え続けている。
届かないとわかっていながら、諦めきれない夢として今後もオレの中に残るだろうな。


なお、この曲について紹介してくれているブログ記事があったので、
以下にリンクを貼ってみました。

吹奏楽マニアに捧ぐ・第11回『ラスベガスを喰い尽くすゴジラ』

楽譜見たことなかったけど、こんな場面設定とかトンデモ指示がわんさかあったのね。
プレスリーの衣装を着ろとか、実に意味不明で楽しい!






⑨ カートゥーン (P. ハート)

この曲のスタンスは、『ラスベガスを喰いつくすゴジラ』のそれに近い。
要するにタイトル通り、「いかにもアメリカのカートゥーンの劇伴として流れてそうな曲」である。
別に何か元ネタがあるわけでない。ただ、極めてそれっぽく「ありそう」なのである。
オレは子どものころにトムとジェリーを無茶苦茶見てた人間なので、
アメリカのカートゥーン(アニメ)といえば一にも二にもトムジェリなのだが、
この曲が始まってわずか数秒で、もういかにもトムジェリーで流れてそう感がハンパじゃない。
目を閉じれば流れてそうなシーンが容易に浮かぶってもんよ。

でも考えてみればトムジェリの作曲家って凄いよなぁ。
日本のアニメみたいに、あらかじめ色んな場面ごとに想定した曲をいくつか作っておき、
シーンごとにそこにあったBGMを乗せるってわけじゃない。(一応言っとくが批判ではないぞ)
話ごとシーンに沿って物語のごとく音楽を作っている。
すなわち、「あっ、これ前にも聴いたやつだ」ってのがない。
しかも、効果音だったり、トムやジェリーが驚いたときの感情の昂ぶりだったり、状況の悪化具合だったり、
そういったものも自然に曲の中に組み込んで描写するというプロフェッショナルぶり。
トムジェリもそうだけど、向こうのアニメってセリフをほとんど排してるのがちょいちょいあるじゃない?
必然的に劇伴の存在意義や重要性は跳ね上がるわけで、
「セリフを排す」「曲で表現する」という二重のハードルに真っ向から挑んでるといえる。
アニメにおけるアメリカのこういう姿勢は、
日本の『行間を読む』美学を大事にする姿勢と似通っているようにも思える。

さて、話が逸れましたが、この曲もやっぱり激ムズ。これもウチじゃまあ無理。
コンセプトの幅が狭いぶん、『ラスベガス…』に比べると多少内容は薄いが、
これも実にユニークな一曲である。
『ラスベガス…』と同じく日本人には書けないであろうタイプの曲で、
アメリカ人作曲家ならではのセンスが光っている。






⑩ 未来への飛行 (本澤 なおゆき)

これはどちらかと言えばポップス寄りの曲。
構成自体は急-緩-急の3部構成というよくある序曲タイプなんだけど、
急の部分では基本的にずっとドラムセットがビートを刻んでいるので、
その分軽快で若々しい爽やかさが前面に押し出されている。
聴く人によっては俗っぽいと感じるかもしれないが、
基本明るいんだけど所々で感傷的な感情が呼び起されるようなこの曲の旋律、オレはすごく好きだ。
余談だけど、この曲初めて聴いたとき、
下に載せてる動画でいう0:58~のところで、石川ひとみさんの『まちぶせ』を思い出してしまった。
『微笑み 見~つめ合~う~  見覚えあるふ~た~り~』の、『見~つめ合~う~』の部分ね。

実はこの曲、2年目だったか、定期の第2部のオープニングに提案したことがある。
しかし、1曲目にしては長いこと、そして第2部にもオリジナル曲を持ってくることに難色を示されてボツになったのだ。
その際の反応から、第1部のオープニングとしてなら採用できそうではあったけど、
結局そのチャンスをものにする機会がないままとなってしまい、実に無念。

もう幻となったが、もし今年も企画を続けていたら活用していたであろうネタ帳の、
第28回定期の第1部1曲目の欄には、『未来への飛行』と書いてあった。
難易度的には大したことはないので、この先演奏する機会に巡り合えるといいなぁ。

ちなみにこの曲は、作曲者がパイロットをしている兄に捧げた曲だという。






⑪ キャンディード組曲 (L. バーンスタイン  /  C. グランドマン)

「序曲」ではない、「組曲」のほうである(←こっちのが好き)。
傾向からいえばオレにしては意外なチョイスであるが、
何故かこの曲は昔から大好きで、高校のころにやたら聴きまくっていた。
実際相当な難曲ではあるのだけど、ラスベガスよりはまだ現実的ではあるかと。
というか今年自由曲でピータールーいけたんなら、頑張ればこれもいけるんじゃない?


⑫ レマゲン鉄橋のテーマ (E. バーンスタイン)

これは少し番外編。
吹奏楽譜が出版されていないので、いつかアレンジできればという野望があるのだ。
映画ファンにとってはごく当たり前に昔の映画のテーマ曲なのだが、
映画を知らない者にとってこの曲は、『よゐこ濱口が海に潜るときのテーマ』である。
かつて放送されていた番組『いきなり!黄金伝説』において、
1か月1万円生活中に濱口が海生活に突入すると、この曲がBGMとしてかかっていたのだ。
映画音楽のよさがギュッと詰まったような名曲だと思うんだけど、どうでしょう?
あまりに好きすぎて、高校のときに作った海にまつわる曲の中に、
この曲の一部をもじったようなフレーズを書き入れてしまったくらいだ(オマージュというと許される風潮)。
元々は海まったく関係ない曲なのに、やたらと海中の映像とマッチするのも不思議だけど素敵。
(最近、この濱口モリ突きの海中映像を撮影していたのが、話題のナスDと判明してましたね)
インパクト絶大ながら、3分ないくらいの短い曲だけに、プログラムのオープニングにも最適。
実際使うかどうかはさておいて、時間ができたら書いてみようかな。





コメ欄が映画じゃなくて濱口に関するコメントばっかりで草




このほか、

♪ ゴッドスピード! (S. メリロ)
♪ ライド (S. ヘイゾ)
♪ ドラゴン・ファイト (O. M. シュワルツ)
♪ スクーティン・オン・ハードロック  ~3つの即興的ジャズ風舞曲~ (D. R. ホルジンガー)
♪ 落夏流穂 (柳川 和樹)
♪ レムリア  ―失われた大いなる遺産 (八木澤 教司)
♪ 海鳴り (高橋 ひろみ)
♪ フライ・ハイ (星出 尚志)
♪ 銀河鉄道の夜  ~吹奏楽、合唱、ナレーションによる音楽童話~ (菊池 幸夫)

…あたりも、上に挙げている曲ほどではないが興味のあるラインナップである。
何年か前にやったけど、井澗作品もまたやってみたいと思う。

あと、出来る気は全然しないけど、死ぬまでに一度は田村文生の曲に直に触れてみたい(笑)
あの不穏で不気味でキモチワルい作風大好き。


ということで、全4回に渡ってお送りしましたが、
これにて、オレの企画振り返り企画は終了です。
お付き合いいただき感謝いたします。

次回記事よりまた平常運転で参りたいと思いますので、
また今後ともよろしく見てやっていただけると嬉しいです。

それではまたお会いしましょう。


♪ #55: Horizon / アクアマリン


なんか東広島ウィンドの出欠確認票が、検索したら普通にネット上に流出してんだけど。(←エゴサーチしていてたまたま見つけました)
個人名ガッツリプライバシーガッツリのデータだし、これはさすがにダメだろう。
以前にも何回かこういうのあったけど、これ管理上の何がどうなってんのかね。


漫画のジャンルの一つに、「料理マンガ」というものがあります。
昔で言うところの、『美味しんぼ』とか『ミスター味っ子』とか『クッキングパパ』みたいなの。
『孤独のグルメ』とか『ワカコ酒』みたいなのも含めて「グルメ漫画」と言ってもいいでしょうか。
最近はこのジャンルの中で恐ろしいほど細分化が進んでいるんですねー。
弁当に特化した漫画、ハンバーガーに特化した漫画、果ては修行僧の食事に特化した漫画なんてのもあり、
どこまでニッチな層を責めるんだと言いたくなるようなのもチラホラ。
(ある意味では『もやしもん』も、発酵食品に特化した「グルメ漫画」と言えるのかも?酒も結局発酵だし)
でもそういうニッチなものこそが求められ、受け入れられるのが今の世の中なのかもしれません。
テレビで時々やってる、「こんなことを仕事にしている人たち」みたいな特集しかり。

そんな中でおれが最近ハマっている漫画が、『味噌汁でカンパイ!』である。
タイトルの通り、味噌汁に特化した漫画です。これは逆に今までありそうでなかったトコかと。
こういう砂糖を噛むような漫画を読んで一人でキュンキュンするのが好きだったりします。
現実世界でキュンキュン成分が枯渇しちゃってるので…。


どうもこんにちは。
職場ではボチボチ種子島とか宮崎あたりから新米が入荷されてくるようになりました。
広島は今年全然雨降ってないけど、果たして出来はどんなでしょうか。
あと1か月2か月気長に待ちましょう。


さてさて、今年もキングオブコントの時期が近づいてまいりました。
近づいたといっても地上波放送のある決勝までまだ50日くらいありますが。

予想ではなく、あくまで個人的に決勝で見たい、来てほしいコンビをいくつか挙げてみたいと思います。
決勝進出経験コンビばかりなので目新しさはないですが。


①トップリード

2011、2012のファイナリストだが、2年連続決勝最下位だったせいで、
逆によからぬイメージがついてしまった気がする。
昔M-1についてトータルテンボスが、
「決勝で最下位になると、本当は日本で9位なのに、まるで日本で一番面白くないヤツみたいに思われてしまう怖さがある」
と語っていましたが、まさにその状況になっちゃってる印象を受けます。
M-1で同様に2年連続決勝最下位に陥った経験のあるPOISON GIRL BANDも、
結局それを最後に決勝に上がれずじまいでしたし。
そう考えると、同じく2年連続決勝最下位経験のある千鳥の凄さが際立ちます。
連続最下位の翌年の敗者復活含め、その後2度も決勝進出したり、
M-1の空白期間に行われていたTHE MANZAIではあわや優勝の好成績をおさめたり。
でも、千鳥はホントに面白くなったなと感じます。
昔は良くも悪くもアクが強すぎだったのが、近年はそのうちの悪い部分だけが除かれて、
千鳥らしい「なんじゃそれ感」は残しつつ、客にわかりやすい内容になってきたような。
同じことは東京ダイナマイトにも言えるかな。

閑話休題。
本来トップリードは、どちらかと言えばキングオブコントのような賞レースの舞台には合わない芸風のような気がしてます。
たった4分間という尺の短さもそうだし、
わかりやすく、かつ大きな笑い所をちょこちょこ配置するネタが有利(2012優勝のバイきんぐが好例)ですよね。
このへんはM-1同様に賛否両論の「手数論」の範疇なんですけど…。

トップリードのネタって、「お笑い」っていうより、「コメディ」なんですよね。
もっと言うと、「笑えるドラマ」を見ているような気分。
オレはトップリード好きだけど、それでもネタ見て大笑いするかって言われたらほどんどしない。
笑いを目的に作っているというより、
一つのドラマ、あるいはストーリーがあって、その中に笑いを挟んでくるというイメージ。
時折言われる、「トップリードのネタはハートフル」という評価もさもありなんといった感じ。
(2011の1本目の『タクシー』のネタも松っちゃんに「ハートフル」って言われてましたね)
もちろんこれはいいとか悪いとかではなく、トップリードの持ち味であり、魅力なんです。
ただ、それがキングオブコントという場、舞台ではハマらない、というだけ。
まあセミファイナリスト100人による審査だった2011、2012とは、今もう審査方法も変わってるわけで、
そういう意味ではもう一度決勝で見てみたいのも事実なんですが(設楽あたりは結構評価しそうな気がする)、
トップリについては、去年準決勝でやったネタ、そしてそのウケ量でも決勝に選ばれなかったことが全てかなーと思ったり。
(去年準決勝観覧した複数の人のブログで、軒並み「これは間違いなくいったと思ったけど」との評価)

まあこのコンビについては、
ラーメンズがキングオブコントに出ても多分高得点は得られないのと同様と思うことにします。
トップリのネタ作り担当の新妻さんが、ラーメンズを好きだというのもネタ見りゃ納得です。
コントの内容の方向性、雰囲気が似てるもんなぁ。
両者ともに好きなおれにとっては、決勝で見たい気持ちはありつつ、
惨敗、あるいは中途半端な結果に終わってツイッターとかで叩かれるのは見たくない
(ポイントポイントでのわかりやすい笑い所で積み上げるタイプのコントじゃないので、
お笑いを見慣れてない人にはあまりハマらない可能性大)
そんな複雑な気持ちです。
ただ、演技力はあるコンビなので、
決勝進出がキッカケでドラマとかの仕事が入るといいなとは思います。


②ジグザグジギー

B級グルメって好きですか?オレは大好きです。
高級感とか、小洒落たカンジはないけれど、間違いのない美味しさは保障される。
このジグザグジギーというコンビのネタも、B級グルメ路線に近い印象を受けるのです。
ただそれゆえ、賞レース、特にキングオブコントで上位、優勝を争う姿が想像できないんですよね。
安定して笑いはとれている。
でも決定的なデカい一発がないからそこそこ程度の評価しか得られない。みたいな。
あとこのコンビはネタの傾向に一定のパターンがあるため、
ジグザグジギーのネタをある程度見たことがある人とない人で評価が割れそうなのもポイントかと。
ネタの中盤で、その特有のパターンゆえの間延び感が生まれてしまいがちなのも懸念材料でしょうか。


③ラバーガール

決勝に進出しさえすれば、優勝候補の本命、あるいは一角と目されるのは確実なコンビでしょう。
本来なら毎年ファイナリストに選ばれていてもおかしくない実力コンビだと思いますが、
今まで2010と2014の2回だけというのは実に意外な結果です。
今後もキングオブコントが続けばいずれは優勝できるコンビだとは思いますけど、
中途半端に決勝進出回数だけ重ねてくと今のしずる状態になりそうな気もしないでもないですね。
なので、次にファイナリストに選ばれたタイミングで確実に優勝してもらいたい。

それにしても、ラバーガールって出てきた頃はシュール系って言われてたと思うんですが、
ボケとツッコミが抑揚なく淡々としてるのが奇抜なだけで、設定や展開は割と正統派なんですよね。


④夜ふかしの会

ここはなぁ、進出した2012年のとき、評価が不当に低いような気がしたんですよね。
2本目のカラオケのネタはまあ、あの点数で妥当な気はしましたが、
1本目の学級会のネタは、積み上げ式の展開も上手いし、オチも爽快にバシッと決まった。
そして何より、こういう賞レースに2人組以外(特に4人組以上)が出ると審査員から必ず言われる、
「○人いる必然性」「○人という強みを生かす」といった課題を完全にクリアできてましたよね。
あのネタは5人じゃなきゃできないネタです。
あれで778点というのは、事務所無所属ということに対する色眼鏡、見えない力みたいなものを感じてしまったもので。
そういったことに対するリベンジじゃないですけど、
もう一回チャンスをあげてほしいなぁという気持ちはありますね。


⑤ラブレターズ

これまで3回もファイナリストになっていながら、
今だに「西岡中学校」のイメージのままってのもすごいというかなんというか…(悲)
ここはなんだろう、2011年のときのイメージのせいか分からないんですが、
いまだに、「やられ役、ザコキャラの若手感」が拭えないんですよね。
二人とも低身長で童顔なせいなのかなんなのか…。
実際技術はあると思うし(2011の2本目なんて、ボケが一切しゃべらずツッコミだけで進めてくというなかなかのモノだったと思います)、
過去の大会でもほんの少し噛み合わせが変われば
ガラッと結果が変わっていたかもしれないこともあったんですが…。
去年なんて、全体のレベルが低かったのもあるけど、
後になって一番何度も見返してしまったネタは、最下位だったラブレターズの「野球拳」でした。
面白いとかいうより、見てて楽しいネタでしたよね。
とはいえこのネタが最下位の評価だったのも、理解できるししょうがないかなと。
もし今後ファイナリストになる機会に恵まれなくても潰れず腐らず、
トップリと同じく、キングオブコントとは別のところに輝ける場所があると切り替えて頑張ってほしいと思ってます。
ただし選ばれることがあれば今度こそ爪痕をザックリ残してほしいですね。


あとは、うしろシティや常連のさらば青春の光とかにも期待です。
去年の、優勝経験のあるかもめんたるの再進出みたいなのがあるとすれば、シソンヌに期待。
優勝したのにあまりブレイクしなくて不遇なので…(あの年は結局ダンソンに全部持ってかれちゃいましたね…)。
(前にアメトーークの「パクりたい-1」に「好きになっちゃう~」のネタで出たときに、
雨上がりから「キングオブコント王者が何でここ来てんの」みたいに言われてましたっけ)
鬼ヶ島とかは……どうだろう?
あのいい意味での狂った魅力が薄れてきてるって聞いたので、2013を超えるのはもう厳しいのかも。



えーとそれでは、前置き(?)はこのあたりにして、
前々回、前回の続きです。今回はラスト、企画3年目の2016年度です。
それではスタート。



【2016年度・企画3年目】


♪ ひまわりの約束

…くららオープンディ、春の本番ラッシュ(空手大会、ナイスハート、春の小谷SA、音楽祭)、寺西Autumnコンサート、酒まつりコンサートで使用。
春の本番皆勤賞にとどまらず、秋口の寺西オータムや酒まつりまで引っ張った、
2016年度で一番酷使したレパートリー。
『STAND BY ME ドラえもん』自体は2014年夏の公開だったので、
このタイミングで採りあげるには正直今更感があったのだが、
この映画の社会的反響が当初思っていた以上に大きく、
映画とともにこの主題歌についても一向に風化する気配なく、超ロングヒットを保っていたので、
ほんじゃあ今更でも別にタイミング逃してるわけではないだろうと判断して採用するに至ったわけだ。

ちなみになぜ2014年当時に採用しなかったかと言えば、
前々回の記事で書いたように、2014年は子供向けの爆発的ヒット曲が2つ(レリゴーと妖怪)もあったために、
ポジションの被るこの曲の採用を差し控えた、というのが真相である。
まあ実際この曲は小学生から高齢者まで、テレビさえ見てればみんな知ってる曲であって、
別に低年齢層に狙いを絞った曲というわけではないんだけれども。
(それ言ったらレリゴーもそうだけれども)


♪ 「スタートレック」のテーマ

…ナイスハート、春の小谷SA、音楽祭、寺西Autumnコン、酒まつりで使用。
宇宙を舞台にしたSF作品として、『スター・ウォーズ』シリーズと人気を二分する『スター・トレック』シリーズのテーマ曲。
おじさん世代には、アメリカ横断ウルトラクイズの曲としてもお馴染みのアレ。
この年(2016年)新作『スター・トレック BEYOND』が劇場公開されるということでのチョイス。
いずれの本番でも1曲目として華々しい幕開けを担ってくれた。


♪ 日本昔ばなし組曲

…ナイスハート、春の小谷SA、寺西文化祭で使用。
まんが日本昔ばなしのOP(「ぼうや~よいこだねんねしな」ってやつ)、桃太郎、浦島太郎、金太郎、まんが日本昔ばなしのED(にんげんっていいな)の短い5曲が、
メドレーでなくオムニバス形式で繋がれた曲。
選曲理由は、某携帯電話会社の三太郎が話題になっていたから。
ちょうどよくこの三太郎だけ入っていたのがナイスです。
老若男女関係なしにどこでも使える童謡の存在は偉大。


♪ Best Friend

…ナイスハート、春の小谷SA、寺西Autumnコン、酒まつり、空港秋まつりで使用。
10数年前に「ちゅらさん」の主題歌として使われたkiroroの楽曲。
選曲理由は、2016年春に日本でも公開が始まったディズニーピクサー映画『アーロと少年』の
日本版主題歌として起用されていたから。
知名度も高い、典型的なバラード系J-Pop枠として安定した活躍を見せた。


♪ ストームライダー組曲

…春の小谷SA、音楽祭で使用。
2016年は、東京ディズニーシー開園15周年ということで、何かないかと探していて見つけた曲。
TDS内のアトラクション「ストームライダー」のBGMを1曲にまとめたもの。
原曲を知らないし、
そもそも現地で乗ってる人もほとんどの人はBGMなんていちいち注意して聴いてるとは思えないんだけど、
そんなの知らなくてもシンプルにカッコよかったので採用させてもらった。
トランペットのユニゾンファンファーレ風のメインテーマが実に爽快で、
ちょっと難しかったけどその分演奏効果も高かったと思う。
フラッターしながら音階を昇っていくみたいな特殊奏法も、個人的には新鮮で楽しめた。

なおストームライダー自体は、この年の5月いっぱい(春の小谷SAから約1週間後)を以て、
アトラクションが終了される運びとなっていたようである。
当時ヤフートップでニュースになっていたりもした。
オレは乗ったことないのでどんなものなのか知らないし、
それが終わることに対して特段どうという感想もなかったのだが、
当時なんJで立ったあるスレにて、軒並み「ストームライダー切るとかTDS無能」扱いされていたので、
人気がある、あるいは広く愛されるアトラクションだったんだなぁと感じたものだった。

なお、オレ自身はTDSに行ったことは1回もない。
ランドも高校の修学旅行で行っただけだな(←絶叫系も高所系もダメなので基本遊園地自体あまり興味ない)。
頑張ってスペースマウンテンには乗ってみたけど、別の意味で怖かった。(こう、もしパイプとかが垂れ下がっていたらどうしよう、みたいなね)。
一番楽しかったのは、バズライトイヤーのシューティングみたいなアトラクションかな。

あっでも実はフロリダのディズニーランドに行ったことあるのは自慢だ。


♪ 名探偵コナン メインテーマ

…バンフェス、寺西Autumn、酒まつり、空港秋まつり、秋の小谷SA、寺西文化祭で使用。
初秋のバンフェスから晩秋の寺西文化祭まで、秋の本番皆勤賞だった曲。
この年、名探偵コナンのアニメ放送20周年&劇場版映画第20作目という節目だったことを受けてのセレクト。
コナンのテーマ曲と言えば、映画ごとにその都度微妙にアレンジされているが、
大きく分けて2パターンあり(イントロ部分がわかりやすい)、
このアレンジは、所謂「生レバー」じゃない方である。(なんのこっちゃな方はスルーしてください)

ちなみに個人的に一番好きなバージョンは、『天国へのカウントダウン』で使われたヴァージョンだ。
終盤にホルンのハイトーンがあるやつと言えば、ファンにはお分かりいただけるハズ。


♪ 交響詩 ジャングル大帝  ~白いライオンの物語~

…バンフェス、寺西Autumn、酒まつりで使用。
1966年(ちょうど50年前)に、ジャングル大帝の劇場版が公開されたという節目、
そしてこの年(2016年)5月に、ジャングル大帝の音楽を担当した作曲家、冨田勲氏が亡くなったということでのチョイス。
ジャングル大帝のアニメの劇中で使用された曲を、
シンフォニック寄りにアレンジしてメドレーに仕上げた1曲。
全部の曲について確認したわけではないが、再現度もなかなか高く、
当時見ていた人(今何歳だ?)にはどストライクなんだと思う。
ジャングルが舞台というイメージ通りホルンが大活躍で、それはもう咆哮しまくってたね。

ウラ話をすると、
この年の酒まつりの第2部(邦画の部)のメイン(本編ラスト)を決めるに当たり、
この曲か、『ゴジラファンタジー』というゴジラの劇中曲のメドレーのどちらかにしようとしたのね。
ゴジラの方の選曲理由については、
ご存じのとおり2016年は『シン・ゴジラ』が公開予定(選曲時点)となっていたから。
いろいろな理由から結局はジャングル大帝にしたのだが、
蓋を開けてみればシンゴジラが予想以上にブームになっちゃったので少々悔しい思いはした。


♪ ディズニー・プリンセス・メドレー

…寺西Autumn、酒まつり、寺西文化祭で使用。
ディズニーの曲は毎年何かしら採りあげてはいるんだけど、
2016年は、ウォルト・ディズニーの没後50年目にあたるということで、
何か象徴的な曲、あるいはルーツとなる曲みたいなのを選べれば…と考えてはみたのだが、
そんなちょうどよく都合のいい曲などあるハズもなく、
結局、「ディズニーといえばやっぱりプリンセスのイメージ」という至極投げやりな発想で、
ちょうど団の蔵書にあったこの曲を引っ張り出してきたのだ。
メドレーだけに、ある程度の曲の長さもそこそこの難易度もあるのだが、
小編成で書かれているのでパート数がだいぶ少なかった(=ユニゾンがごつい)のが、
うちの団の人数とはちょっと相性悪かったかなと感じる。


♪ オー・シャンゼリゼ

…酒まつり、空港秋まつり、秋の小谷SA、寺西文化祭で使用。
映画『ダージリン急行』(2007,アメリカ)で使われていたというかなりの力技で酒まつりにも組み込んだ。
原詞にそういう描写があるのかどうかは知らないしなくても構わないのだが、
個人的にこの曲の季節イメージは秋なので、
使うならば春の本番ラッシュでなく秋の本番ラッシュで、ということは決めていた。
楽譜を探していて意外だったのは、
かなり有名な曲なハズなのに、意外と吹奏楽譜が出ていない(というか情報がない)ということ。
幸いにも姉が高校時代に吹いていたことは覚えていたので、
この年運よくその高校に赴任していた技術担当にお願いして手配してもらったのだ。

ただ、酒まつりで指揮を振った外部の指導者が、
何故か分からないが練習の段階から、
「こんなオーシャンゼリゼ聴いたことあるのか?」
ってくらいの異常なハイスピードで振っていたのが個人的にすごく気持ち悪かった。
普段は、「この曲もっとテンポあげないのかなぁ」とモヤモヤすることも多かっただけに、
なぜこの曲に限ってはそういうテンポ設定にしたのか本当に謎で、
シャンソンをこのテンポで演奏したら魅力激減だなぁと思いながら聴いていた。


♪ タラのテーマ

…酒まつり、空港秋まつり、秋の小谷SA、寺西文化祭で使用。
往年の名作『風と共に去りぬ』のテーマソング。
1966年(ちょうど50年前)に、日本が世界で初めてこの作品を舞台化し公演を行ったということで、
若干のこじつけ感は否めないものの節目は節目。
年配の映画ファンならずとも、なんとなく聴いたことある人もいるだろうと思って採用。
緩やかに朗々と流れるムーディな音楽で、プログラムの「緩」の役割を一手に担ってくれた。

余談だが、団の蔵書にあったこの楽譜、フルスコアが紛失していたようなので、
全てのパート譜から音符を一から打ち込んでフルスコアを作るハメになってしまった。
この年の8月(特に盆前後)は、家でひたすらこの作業をしていた記憶しかない。


♪ 『耳をすませば』ダイジェスト

…酒まつりでのみ使用。
最初に言っておくと、これはオレがイチから編曲した楽譜で、実は結構自信作である。
この前年の2015年夏、ちょうど前職を辞めて転職活動をしていた時に、
豊富にあった時間を使ってチマチマ書いていたのだ。
年が変わって2016年、5月から8月まで熊野町の筆の里工房で、「近藤喜文展」が開催されていたので、
(近藤喜文は『耳をすませば』の監督を務めており、
「近藤喜文展」のテレビCMの際にも、代表作として「耳すま」のイラストが使用されていた)
どうせおれが企画のうちじゃないと自分のアレンジをゴリ押しできるチャンスはないし、
ちょうどいいからこの機会にやっちまえと思って、職権を濫用してプログラムにねじ込ませてもらった。

前に言ったことがあるかもしれないが、
オレはジブリで一番『紅の豚』が好きで、2番目が『耳すま』である。
そして音楽については、『耳すま』が一番好きなのだ。
ちなみに『耳すま』と、そのスピンオフ的性質の強い『猫の恩返し』は、
ジブリとしては珍しく、音楽担当が久石譲ではない。野見祐二という作曲家である。

オレが企画に就任した2014年春の時点では、
『紅の豚』も『耳をすませば』も、メドレーの吹奏楽譜が一切出版されていなかった。
よりによって一番好きな2作品なのに~~ということで、
出版されないならいずれオレが書いてやると意気込んだものだった。
結局それから程なくして『紅の豚』のメドレーが出版され、すぐ(2015年酒まつり)採用した(前回記事参照)。
しかし耳すまのメドレーは一向に出版されない。
よりによって音楽を扱った作品なのに。。。
バラエティとかでも使われるような有名な曲がないからか?とも思ったが、
『紅の豚』だってジブリファン以外にも知られる特段有名な曲があるわけでもない。

理由は不明だが出版されないなら取るべき手段は一つ、
前述のとおり、せっかく時間があることだしと、編曲作業に着手したのだ。
耳コピ用にサントラCD、コード確認用にジブリ曲のピアノ譜を集めた楽譜本を購入していざ開始。
物語の流れに沿う順序になるように、緩急や吹奏楽での演奏効果等も考慮して使用する曲を選んでいき、
結局8曲を繋げた約13分という長めのメドレーが出来上がった。

ご存じの通り、この作品はヴァイオリン職人を目指す男子がメインで登場するだけあって、
劇半もそういう背景を意識したような、弦楽、室内楽といった方向性の曲が多いのだ。
(もしかしてこれがなかなか吹奏楽譜にアレンジされない理由か?)
加えてこの作品には、「明確な悪(敵)が登場し、それと対峙する」という場面がないため、
激しい系、あるいはハイテンション系の曲がほぼほぼ存在しないのである。
以上2点の理由により、メドレー全体にメリハリや色彩感をつけにくく、
どうしても単調、モノクロな印象になりやすい…というか、そうなったのである。多分。
俺みたいな耳すま好きならまだしも、
特になんの思い入れもない人がフラットな状態で聴くと、
「同じような曲が続くなぁ」という感想を持つだろうなぁと。
でもこれは原曲重視の方針のオレからすれば、自分の技術とも合わせて限界の領域なのだ。
こればっかりはもうどうしようもない。

オレの趣味全開で採りあげさせてもらった曲だし、
マニアック過ぎて好評も悪評も得られない一番虚しい結果になるだろうなぁと予想しており、
そしてその予想は全く裏切ることなくオレの眼前に叩きつけられたのだった。

でも正直、個人的には大満足の出来である。
割と雰囲気も再現できたと思える部分もそこそこあるし。
オレの趣味につき合わせてしまった団員と酒まつりのお客様には誠にお詫び申し上げます。


♪ 風になりたい  - Percussion Feature Version -

…空港秋まつり、秋の小谷SA、寺西文化祭で使用。
吹奏楽でも割と定番ナンバーの、THE BOOMによる「日本産のサンバ」。
この曲をタイトルの通り、パーカッションフィーチャーしてアレンジされた版を採用。
まあサンバなのでもともとパーカスの出番は多い曲なのだが、
このアレンジは中間部にパーカッションの小物を中心としたアドリブソリ(というかもう適当に盛り上げちゃって~の時間)があるので、
視覚的にも非常に効果的で、
上記3つの本番ではいずれもアンコールとして会場を大いに沸かせてくれた。

ちなみにこの曲の採用理由は、
この年の夏に、日本勢の空前のメダルラッシュで大盛り上がりしたリオオリンピックが開催されたから。
リオと言えばサンバ、ということで。


♪ 女流演歌コレクション

…秋の小谷SA、寺西文化祭で使用。
『舟唄』(八代亜紀)、『越冬つばめ』(森昌子)、『夜桜お七』(坂本冬美)の3曲を繋いだメドレー。
お客の年齢層が高めの寺西文化祭を見据えて
懐かしの演歌か歌謡曲を1曲入れたいなあというのがキッカケ。
実はもともとは『越冬つばめ』を単品でやろうと思って楽譜を探していたのだが、
その際にこのメドレーを見つけ、「カッコイイしこれでいいか」と判断してやや路線変更した結果である。
フルートやサックスの艶やかなソロがあったり、
女性歌手による演歌ならではの妖しい魅力が存分に再現されていたり、
かと思えば最後の夜桜お七は一気にテンポアップして、
8ビートで駆け抜ける爽快な吹奏感と聴きごたえが共存していたり、
メリハリのしっかり効いた、実際非常にカッコイイアレンジで、
団員からの評判も上々だったように思う。
「たった2回の本番しかないのは勿体ない」みたいな声もあったが、
オレは逆にこういう曲こそ、「勿体ぶりの美学」みたいなのが働いてしまうので。。。

…なんて思っていたら、どうやら今春(2017)の本番で再利用されまくってるみたいで…。
うん、まあ、いいけどね…。


♪ ロス・ロイ  ~吹奏楽のための序曲~

…定期演奏会で使用。
昔からやりたかった曲の一つ。
オーシャンゼリゼの項で書いたように、タイミングよくこの年の春に技術部門の一人が、
この楽譜を確実にもっている学校に赴任になったため、ここぞとばかりにお願いしてゴニョゴニョ…。
オレは今までコンクール以外の場でこの曲を実際に演奏しているのを見たことがなかったのだが、
やろうとした時に限って、この年のバンフェスで某団体がこの曲を演奏していたらしき情報を入手し(オレはバンフェスに出なかったので実際には聴いていない)、
さすがにその時は自分の中でモチベーションがみるみる下がっていくのが分かった。
(応援していたインディーズバンドがメジャーデビューして人気になると興味をなくすタイプ)
やりたかった曲なのは間違いないので、すぐ気は取り直したけどね。


♪ Alma libre  ~大草原パンパの民へ~

…定期演奏会で使用。
2年前の『風の島』と同じコンセプトである、
【朝日作曲賞に入選したものの、課題曲になれず陽の目を見なかった作品を発掘】
の第2弾である。
作曲者はフューチュリズムやラメセスⅡ世、課題曲以外なら大唐西域記とかで有名な阿部勇一氏だ。
この曲も入選はしたものの、作曲者曰く「ホルンが吹きっぱだったり難しかったから」課題曲に選ばれなかったという幻の曲だ。
今回、こちらから氏に連絡を取り、未出版となっているこの曲を吹いてみたいとお願いしたところ、
上記のコンセプトに大変共鳴してくださり、
当時のままの譜面では色々不備があるから…と、
我々の本番のためにわざわざ改訂までしてくださったのだ。
お陰様でオレの十年来の夢を実現することができて、阿部先生には大変感謝しきりである。
ちなみに選ばれていれば史上最凶と名高い1994年の課題曲になっていたはずで、
ということは阿部さん、1992年から1995年の4年間で、
フューチュリズム(92)、パンパス(94)、ラメセス(95・朝日作曲賞)と3曲も入選(うち1曲は大賞)していたわけで、
作曲家としてはごくごく初期ながら実にノリノリだったものと推測される。

この曲の元々の題名は、『Pampas for wind orchestra』というものだったが、
今回の改定に当たり、題名も上記のように改められた。
パンパというのは、南米アルゼンチンに広がる広大な草原地帯のことで、
タイトルからいかにも民族音楽風味、それもオレの好きなフォルクローレ臭が漂っていたため、
昔からずっと音源さえ流出していないこの曲に想いを馳せていたのだ。

この曲の根底にあるイメージは、パンパの地にかつて生きていた「ガウチョ」という民族らしい。
ガウチョパンツのガウチョである。
勇敢で礼儀正しく、他人のために自己犠牲を惜しまないという人情味あふれる気風は、
地球の真裏に位置していながらどこか日本人の「武士道、侍道」と似通った部分を持つ民族だったようだ。
ところが、近代化、西欧化を進める社会の移り変わりの中で次第に駆逐され、
やがて19世紀ごろに消滅してしまうという悲劇的な最期を迎えてしまったのだ。

彼らの持つ勇ましさ、切なさ、またアルゼンチンの風景を織り交ぜた曲という意味で、
「魂」を意味するalma、そして「自由な」という意味のlibreを組み合わせ、
新たに「Alma libre」という曲名がつけられるに至ったようである。
「ガウチョに捧げる讃歌」という意味合いの副題には、
この曲を通して、彼らのような民族が存在していたことを新たに知ってほしい、忘れないでほしい、
という作曲者の願いも、きっと込められているのだろうと思う。

はるかな地にかつて生きていた民族の生き様と、彼らを包む雄大な自然に思いを馳せながら、
改めて阿部勇一先生に感謝の意を伝えたいと思う。
本当に貴重な機会を作ってくださり、ありがとうございました。
改訂に加え、わざわざ来広して練習も見ていただき感謝しております。
いつかまたお会いできる日を楽しみにしております。
お会いできなくても、今度は仕事でなくプライベートでゆっくり広島を楽しんでくだされば幸いです。


♪ オセロ

…定期演奏会で使用。
「コンクールでは定番だけど、全曲フルで聴く機会って意外とないじゃない?」
という技術部門からの強い推しもあってこっちが妥協してしまった。
オレが企画をやめる決意をした要因の一つだがそれはもう言うまい。
よって特に思い入れはない。以上。


♪ 新・童謡オープニング

…定期演奏会で使用。
毎年恒例の楽器紹介演出枠には、今回は楽器紹介用に書かれた楽譜をそのまま使用した。
例年なら2部の2曲目あたりに配置するのだが、
タイトルのせいで1曲目に配置せざるを得なくなり、
そのせいで2部が板付きスタートじゃなくなるという実に面倒くさい事態になってしまった。


♪ スリラー

…定期演奏会で使用。
ほぼフルートコンチェルトみたいなアレンジで、今回はとってぃさんに大変頑張っていただいた。
原調で書かれていたので、シャープの数がエグいことになっていた。
単純に難しい譜面だし、大量のシャープに加えて音も高かったので、
初見大会でボロボロだったらそれを盾に指揮者はこの曲を棄却するつもりだったらしい。
(気持ちはわからんではないが、この人にも事前に(提案段階で)音源は紹介していたわけで、
楽譜を買ったあとでのそういうのは正直逆撫でにしかならない)
ところが初見大会に向けてとってぃさんが相当頑張って譜読み&練習してきてくれたのが明らかな出来だったため、
指揮者もやめると言えなくなり、そのまま無事にのせることができた…というウラ話がある。

ちなみになんでこの曲を選んだかと言えば、
最近日本でハロウィンハロウィンと突然うるさくなったからである。


♪ ジャパニーズ・グラフィティⅩⅩ  小林亜星作品集

…寺西音楽祭、定期演奏会で使用。
毎年恒例の定期2部の演出メイン枠の曲。
演出メインの曲って、演出を凝ろうとすれば意外と選択肢がないもので、
遊べそうな曲はないかと、この時もいろんな楽譜出版社のHPをひたすら巡回してたのね。
その流れでヤマハミュージックメディアのHP開いたら、
NSBシリーズの最新作が出版されたという紹介があり、何曲かあったうちの1曲がこの曲だったのだ。
メドレーに使用されている曲を見たら、これは遊べそうだと直感で察して即決となった。

≪終盤のセキスイハウスのテーマのときに演者が家族に扮して集まる→パッとさいでりあで踊る≫
という大まかな流れを最初に決めたため、
演者はいつもの3人と、今回は女性2人にも協力を要請した。(5人で、祖母、父、母、娘、息子にそれぞれ扮する)
そこに至るまでの演出は、その5人でうまく役割をふって回したのだが、
久しぶりになかなかよい演出ができたかなーと思う。


♪ ラストシーン

…寺西音楽祭、定期演奏会で使用。
2016年秋に実写化された漫画原作の映画『四月は君の嘘』の主題歌(いきものがかり)。
ちなみにこれはオレの提案した曲ではなく技術担当から出た曲である。
オレは漫画も映画も見たことないのでよく知らないのだが、
主人公の中学生男女がそれぞれピアノとヴァイオリンをやっているとかで、
音楽モノということで採りあげてもいいんじゃない?ということで採用。
例年の定期のこの枠に違わず、ラストに向けて一旦クールダウンするためのバラード。


♪ サンバ・エキスプレス

…寺西音楽祭、定期演奏会で使用。
定期では本編のラストに配置。中盤の直管ソリが宝島みたいなサンバ。
2016年春に急逝した日本吹奏楽界の巨星、マシマシこと真島俊夫氏を偲ぶ意味合いでの選曲。
第1部に使える大曲にする案もあったのだが、
マシマシといえばポップスにも造詣が深く、
クラシック方面ならともかく、ジャズやラテンなど、
吹奏楽におけるポップスの発展にここまで大きく尽力した人はいない(岩井さんか真島さんだろう)ということで、
結局ポップス方面から、真島氏作曲のオリジナルポップスであるこの曲を選ぶに至ったというわけだ。


♪ 恋

…定期演奏会(アンコール)で使用。
2016年屈指のブームとなった、「逃げ恥」の主題歌。
これはオレでなく技術部門からの提案による選曲だったのだが、
別に拒否する理由もないので採用(この頃はもう精神的に折れまくってたので、面倒なことになるくらいならそっちで好きにやってくれ、という心境だった)。
この曲をやるならダンスやらなきゃ意味がないだろうということで、
団員から数名と、団員のお子さんから数名ダンサーとして出てもらった。
団員の子供を歌や踊りで使う演出は、定番でやってるところもあるけど、
オレが知る限りウチでは初めてのことで、
リハのタイミングや本番でのスムーズな移行などのノウハウがないぶん少々苦労した。

ちなみに気づいたお客さんは少ないだろうが、
アンコールの2曲は、「恋」と「鯉」をかけている
……というのは半分後付けであるが、ちょうど2016年、2つの「こい」が日本を席巻したのでね。


♪ それいけカープ  ~若き鯉たち~

…定期演奏会(アンコール)で使用。
言うまでもなく、カープが25年ぶりのリーグ優勝を果たしたことを記念してのチョイス。
同時に、定期の日から1週間後に幕を開ける2017年シーズンの連覇&日本一を祈念してのチョイス。
ちなみにオレのアレンジによる楽譜を使用した。
秋の時点ではまあ当然というか、
この曲の吹奏楽譜が出版されていなかったので自分でアレンジしたわけだが、
(初秋にM8から出版されたのはされたが、
なぜか行進曲風な謎アレンジが施されたM8らしいひどい出来の譜面だった。
そういう変化球的アレンジは、定番アレンジが出版されている曲でやるべきで、
一発目のアレンジで繰り出すようなものではない!と強く思うのだけど…)
優勝したことで需要が見込めると踏んだのか、
晩秋に立て続けに2、3社の楽譜出版社からこの曲の吹奏楽譜が出版されていた。
聴いてみた感想は、悪くはないんだけど、
アレンジ作業にかかる前にそれらが出ていたとしても、結局自分でアレンジしただろうな~という出来だった。
(だからまずは正統派アレンジを出せよと。特にこういうお客さんが絶対歌えるような曲は!
編曲者が自分のアレンジ力を誇示したいのか知らんけど、そういうチョコザイな小細工はかえって邪魔。)

本番での歌い手は当然、ウィンドが誇る歌のお兄さん(?)、お馴染みなべ氏。
あと、奏者に自前のカープグッズ(ハイユニとかリストバンド等、身に着けられる系)を持ってきてもらい、
見た目にそれっぽくしようというお決まりの演出。
ハイユニの場合、誰のユニかでその人のおおよそのファン歴(暗黒時代からかここ数年か)とか
コア度(コアなファンほどマニアックな選手のを選ぶ傾向がある気がする)がわかって面白い。

ちなみにオレのハイユニは49天谷なのだが、
実はこれを買った日、ホントは26廣瀬ユニを買うつもりだったのが売り切れで、
しょうがなくそれじゃあと代わりに選んだのが天谷ユニだったのだ。
いや、当時は天谷3番打者として期待されてたんだよ。オープン戦で首位打者獲ったり。
そもそも高卒ドラフト9位で15年以上もプロ続けてるのってとんでもないよなぁ。


まあ何はなくとも、広島で活動する以上、この曲は絶対使いどころはなくならない曲なので、
今後も時々使ってもらえるといいなぁと思ってます。
将来的にまともなアレンジが出版されたら、それを買えばいいということで、
今はオレので我慢してくれと。




ということで、オレの企画3年間振り返り企画は終了です。
もっとサラッと流すつもりだったのに、振り返るとやっぱり色々当時のあれこれが思い出されて、
結局ガッツリ読むのが面倒な文量になってしまい申し訳ないです。


さて、申し訳ないついでにもう少しだけお付き合いください。
次回は番外編として、「やりたかったけど、結局できなかった曲」をいくつか紹介させてください。
やりたいけどこれはウチじゃあ無理(使用楽器的に、あるいは技術的に)と諦めた曲、
今年も企画を続けていたなら、恐らく今年提案していたであろう曲、
3年やってきた中で実際提案したことがあるけど却下された曲、
こんな曲をいくつか放出していく予定です。
お楽しみに。






♪ #54: 漂流楽団 / 谷山浩子


今ニュースで『東京オリンピックまでちょうど3年』とかなんとか小池さんが言ってるけど、
新国立競技場建設現場での新入社員の過重労働による自殺という痛ましい一件があったから、
まともな日本人はこれでもう心から楽しめないのは確定ですね。
たとえ3年経とうが、遺族の悲しみや怒りが癒えることはないし、
遺族じゃなくても、競技場でどんなに熱い戦い、偉大な記録が生まれるのを目の当たりにしても、
「でもこのプレーの裏には、まだ23歳の若者の犠牲があったんだよなぁ」ってどうしたってよぎっちゃうもん。
ある意味選手たちも被害者ですよ。

そもそも過重労働が起こるに至った原因は、デザイン問題で揉めて着工が大幅に遅れたからであって、
その尻拭い、しわ寄せが全部現場の人間にいってるからこんなことになってる。
とはいえこんなこと、少なくとも日本という国においては今更驚くような話でもないですがね。

野球で例えてみようか。
序盤に味方が9点もとってくれたリードを先発投手がすべて吐き出し(9失点)、
なおもイケイケムードの相手に対して緊急登板したリリーフが1点だけとられ(1失点)、
結果それが決勝点となり9-10で敗戦。
シチュエーション的になんだか似たような試合を2、3か月前に贔屓の試合で見たような気がして
頭が痛いのだが、
ハッキリと思い出せないので多分夢かなにかで見たのだろう。
話を戻して…。
上記のような試合があった場合、責められるべきは当然9点ものリードを守りきれなかった先発投手しかいない。
リリーフは、不甲斐ない先発の尻拭いをするべく、
既に火力MAXでゴウゴウと燃え盛る敵陣に乗り込まされ、1点取られたに過ぎないのだ。
実際の野球のルール上、この場合の敗戦投手の記録自体は当然リリーフにつくわけだが、
首脳陣や解説者、ファンの評価はほぼ間違いなく、
「試合展開がああなってしまった以上、リリーフは責められない。敗戦の記録がつけられた分、むしろ被害者だ」
となるだろう。当たり前だ。
「先発は9点取られたが同点までで踏みとどまってくれた。その頑張りをリリーフは簡単に無駄にした」
こんな声が挙がるわけがない。過程が見えていないバカの発言だろう。

それなのに、「そんな声」が挙がっちゃったのが、例の建設現場というわけですよね。
「着工が遅れたのはもう過ぎたことだ。その分現場でなんとかやり繰りしてとにかく間に合わせろ」
こんなことを、着工を遅らせた側が言い放っているような状況。
こんなおかしなことが、日本という国では当たり前に起こっているわけですよ。
五輪音頭2020とかふざけたモン作って能天気に踊り狂ってる場合かと。
そんなくだらねぇことする暇あったら、現場行って小運搬とか手伝ってあげれば?

でもこの件に関しても、
表向きだけは『誠に遺憾だ』といううわべだけの言葉を並べるのみで、
『せっかくの東京五輪という晴れ舞台に味噌をつけてくれやがって』
みたいに思ってる政治家やら利権ズブズブな立場のお偉方もいるんだろうなぁと思うと
なんだかやりきれないですよ。



こんにちは。冒頭から柄にもなく熱くなってしまいました。
1年半だけでも、瓦屋根工事の会社で働いてた経験あるので、
現場の人間の常とはいえ、こういう状況に立たされてるってのはホントに身につまされるのです。
政府やメディアのお偉方だけで異様に盛り上がって誘致し、
大半の一般市民は震災の余波やらもあってなんとなく
「今はそれよりやることあるだろ」と消極的に捉えていた
オリンピックの建設現場で起きたってのがまたね、この上なく悪い冗談です。


さて、前回記事の続き、おれがウィンド企画だった3年間の選曲振り返り企画です。
今回は第2弾です。それでは以下に列挙していきましょう。



【2015年度・企画2年目】


♪ 「アニー」ハイライト

…春の本番ラッシュ(空手大会、ナイスハート、春の小谷SA、音楽祭)、寺西Autumnコンサート、酒まつりコンサート、入野小芸術鑑賞会で使用。
春のイベントのみならず、秋口の寺西オータムや酒まつり、
果ては11月の入野小まで引っ張った、2015年度で一番酷使したレパートリー。
前年2014年にリメイク映画が公開されたことを受けてのセレクトであったのだが、
恐らく団員のほとんどが飽きて飽きてしょうがなかったのではないかと思う…(^_^;)
アニー観てない人でも知ってるのは多分、アニーのオーディションCMの際に子役が歌ってる
『トゥーモロー トゥモロー  アイラビャー トゥモロー……』って曲くらいだと思うけど、
ミュージカル映画らしく原曲を知らなくてもスッと耳に馴染む曲ばかりで、
各本番プログラムでのしっとり系小品枠としての持ち味を存分に発揮してくれた。


♪ アメリカン・グラフィティⅩ  ~アカデミー受賞曲・ノミネート曲メドレー~

…ナイスハート、春の小谷SA、寺西Autumnコン、酒まつりで使用。
ジャパグラシリーズに比べてアメグラシリーズを演奏する機会って不当なまでに極端に少ない気がする。
まあ別にそういったことを憐れんでの選曲ってわけでもないのだが…。
『ジ・エンターテイナー』(『スティング』)、『モナ・リザ』(『別働隊』)、『雨に唄えば』(『雨に唄えば』)という、
いかにもアメリカチックなスウィング・ジャズを軸にしたメドレーで、
華やかさと気怠さが絶妙に配合された小洒落た一曲。
ただその分バンド全体で足並みを揃えるのに少々苦労した記憶がある。


♪ 広い河の岸辺

…空手大会を除く春の本番ラッシュで使用。
2014年秋から2015年春にかけて放送されたNHK連続テレビ小説『マッサン』の劇中曲として使用されていた、しっとり系のスコットランド民謡。
ドラマの放送時期(4月~9月、10月~3月の1作品2クール×年2作品)と、実際に演奏する時期の親和性が悪いため
(楽譜が出版されるには少々ラグがあり、それを練習する期間も踏まえると、曲が本番にのせられるのはほぼ放送終了後になる。
また、秋冬期の作品の場合はそもそもちょうどよい本番自体がない)
基本的にNHK朝の連ドラの曲は選曲の対象にしていなかったのだが、
マッサンの場合は舞台が地元(しかも隣市)ということもあって特別に採用させてもらう形に。
マッサン絡みでは、ウィンズスコアからはこの曲と、中島みゆきが歌う主題歌の『麦の唄』の2曲が出版されており、
どちらにしようか悩んだ末に、こちらのほうが簡単ですぐに完成させられそうなこと、
そして、どちらかと言えば主題歌の方が他の団体と被る可能性が高そうなことから、このチョイスになった。

ちなみに、6月の音楽祭までの春の本番のプログラムは、
だいたい1月中くらいまでには決めて楽譜の手配をするのだが、
3月に見に行った近隣のK吹奏楽団さんの定期で『麦の唄』が演奏されており、
別に競合するわけではないにせよ、なんとなく避けて正解だったなと思ったものだった。


♪ モーツァルト・ポップス・シンフォニー

…空手大会を除く春の本番ラッシュで使用。
モーツァルトの交響曲第25番、第40番、第41番などの超有名なフレーズをモチーフに使用し、
それをポップス色全開にアレンジを施した遊び心満載の曲。
言ってみれば、「堅苦しくないモーツァルト」(って言うとやっぱり語弊があるな…)なのだが、
この手の、誰もが知るクラシックの名曲をポップスアレンジした曲というのは、
これまでの経験上ほぼ間違いなくウケる。クラシックガチ勢からどう思われているかは知らないけど。
この曲に関しても、ドラムが終始ビートを刻んでいてクラシック慣れしてない人にも聴きやすく、
唐突にスウィング調でビッグバンドっぽくなる部分があったり、
バンド全体が揃って吹く→全員休符→吹く→全員休符みたいな緊張感のあるシーンがあったり、
たった5分の中で場面転換やメリハリもよく効いている。
別に簡単な曲ではなかったハズだが、なんとなくみんな吹きやすそうというか、
楽しく吹けている雰囲気を感じたのはオレの気のせいか、はたまたアレンジの良さか。

余談であるが、この曲の編曲者はドラマやなんかでも活躍してる売れっ子であるが、
おれ的に一番はやっぱりベタだけど「鹿男あをによし」のテーマ曲だ。
ドラマ系でいえば、この曲と『功名が辻』のテーマ曲はいまだにYouTubeでよく聴く。
おれの中では多分この先も、ドラマのテーマ曲で『功名が辻』を超えるものは現れないだろう。
小六さん万歳。


♪ ハピネスチャージプリキュア!WOW!

…空手大会を除く春の本番ラッシュで使用。
前任の企画担当者(♀)、およびその周囲の仲良し連中の中に
ヒーロー戦隊モノ好きが結構揃っていたことも影響しているのか、
何年か前にその年放映されていた戦隊モノのテーマ曲を演奏したことがあった。
それを思い出してふと、そういや魔法少女モノってやったことねぇなぁと思い至っての選曲。
戦隊モノにせよ魔女っこモノにせよ、
このテの曲はアニメでの使用期間が過ぎると鮮度が急激に劣化するので
(対象である子どもが大人に比べて、「それもう終わったよ!」と冷たくシビアに反応することも大きい)
基本的には採用したくないのだが、
15年春は、子供向けの曲でコレと言えるものがなかなか見つからなかったもので…。
おれ自身はプリキュアなんて今まで一度も見たことなかったので、
重度のオタクである弟に協力を要請し、出版されている女児向けアニメの曲からこれを選んだ。
女児だけでなく、小さい娘さんを持つパパなんかも知ってるかもしれんと期待していたのだが、
団内からも、本番時のお客さんの様子からも、手応えがほっとんど感じられなかったので、
今後はやっぱりこういう曲を採用するのはやめたほうがいいかも?

「女児向けのアニメ曲を…」というコンセプトで取っかかったのでプリキュアになったのだが、
どうせここまでレスポンスがないのであれば、
ポケモンの『ゲッタバンバン』にすればよかったと後悔したものである。
曲を知らない状態で初めて聴くのであれば、そっちのほうが絶対楽しく聴けたかなと。
(実際には、この翌年2016年がポケモン誕生20周年ということで、
なにかしらポケモン絡みの曲を採用するかもしれないからと、この時は見送ったという事情もあるのだが…)
なんだかんだでアニポケってシリーズ通していまだに曲は上質なのが揃ってると思う。
一番好きなのは無印オレンジ諸島編の『ライバル!』だ。サビの転調タマラン。


♪ ドレミの歌

…寺西Autumnで使用。
これは……なんだったかなぁ。
記憶が確かなら音楽祭でアンコール(合同演奏)でこの曲を使って、
簡単だしついでだから寺西でも使っちゃおう、みたいなかんじだった気がする。
演奏時間的なことを除けば、この年は後述のように『サウンド・オブ・ミュージック・メドレー』を採りあげているため、
だだ被って変なカンジになった気がする(笑)
(サウンドオブ…の採用確定のほうが時期的には先)


♪ ワシントン・ポスト

…寺西Autumn、入野小芸術鑑賞会で使用。
この曲は実は毎年、空手大会の入場行進で演奏している(君が代や得賞歌と同様いちいちカウントしていないが…)。
寺西オータムでは、詳しく話すと長いので省略するが、
時間稼ぎ兼奏者が揃うまでの誤魔化し的ポジションの曲として採用した。
入野小では、プログラムの途中で「指揮者を体験してみよう」という体験型イベントを入れたのだが、
その際代表の児童に振ってもらってウィンドが演奏したのがこれだった。
理由は当然、振りやすい(2拍子感覚の6/8拍子)上にテンポ一定、
そして吹き慣れているので、児童による指揮が多少グダっても事故らずある程度対応できる公算が大きいからだ。
小学校の芸術鑑賞会に呼んでもらうのは、ウィンドとしても10年以上ぶりくらいだったらしく、
経験者も少なくノウハウも忘却の彼方。。。
ほぼ一から手さぐりの作業に近いものであったが、イベントとしてはとても楽しかった。
またどこかから呼んでもらえるといいなぁ。


♪ 美女と野獣

…音楽祭、酒まつりで使用。
2015年は、春から夏にかけて劇団四季が広島で美女と野獣の公演をしていたので、それにあやかっての採用。
結構練習してた印象あるけど、本番は2回だけだったとは意外である。
ところで今年、2017年も美女と野獣を新企画担当者が採用したようなのだが…何故?
採用理由はあるんだろうけど、2年前にやったばかりの曲をまた出すか~。
ま、おれも2年前にやったの忘れてやらかしたことあるんだけども。(前回記事参照)
どうせ今年やるんだったら、この年は別のやるんだったのに…って、なんでおれの方が後悔しなきゃならんのだ?


♪ ニュー・ムーン  (ザ・メドウ)

…酒まつりで使用。
酒まつり第1部(洋画の部)の中に1曲、どっぷり浸りたい系のしっとりナンバーを入れたくて採用した曲。
映画や曲の知名度は、「日本では」映画ファン以外には低い作品だろうけど、
フルートの奏でるイントロから導かれる世界観は、
映画本編と同様、若干のおどろおどろしさをはらみながらも神秘的で、
個人的には好きな部類の曲だったりする。


♪ サウンド・オブ・ミュージック・メドレー

…酒まつり、空港秋まつり、寺西文化祭、入野小芸術鑑賞会で使用。
2015年は、『サウンド・オブ・ミュージック』製作50周年という節目の年だったので迷わず採用。
日本でも大ヒットした作品で、おれも中学生の時に、音楽の授業で何回かに分けて全部観たものだ。
8分クラスのメドレーにしては、吹く方も聴く方もそんなに重たくなく、
割とサラリといける軽やかな作りだったのでとても使いやすかった。
曲自体もお馴染みのメロディーが多かったし。


♪ TRICK ATTACK  -Theme of Lupin The Third-

…酒まつり、空港秋まつりで使用。
いわゆる、「布袋のルパン」。
この前年2014年に公開され、かの有名サイト「超映画批評」において3点という評価(100点満点)を下された、小栗旬主演の実写版ルパンのテーマ曲。
本家ルパンのフレーズをモチーフとして使ってるとか、オマージュであるとかそんなのではなく、
あくまで布袋が、「ルパンをイメージして」作った曲。
中盤に一瞬全体の音がなくなるポイントで、「Gun shot」という指示があるのだが(原曲でも銃声エフェクトがある)、
とあるルートから入手したハジキを使って、
無事に漫画のようなわざとらしい「バキューン」という音が再現できたので満足。


♪ 伝説の「日本映画」メドレー

…酒まつり、秋の小谷SA、寺西文化祭で使用。
単独の作品、あるいは同一作品内でのメドレー(いわゆるサントラのようなメドレー)でなく、
このテのメドレーというのはぶっちゃけ「逃げ」の選曲だと思ってるので、
個人的にはもうちょっとどうにかできたかなと悔いの残るチョイスではあった。


♪ 交響曲第5番 ハ短調 作品67 『運命』より 第1楽章

…酒まつりで使用。
この年公開された映画『マエストロ!』の劇中で演奏されていた、世界一有名な交響曲。
昨年の『誰も寝てはならぬ』と同じような選曲理由、位置づけの曲で、
この曲も昨年同様、ネットで無料公開されている楽譜を使用させていただいた。


♪ ポルコ・ロッソ   映画「紅の豚」より

…酒まつりで使用。
ようやく編曲・出版されました!おれ待望の「紅の豚」のメドレー。
ということで迷いなくこの年のジブリ枠は即決。
12分くらいあるボリューミーな内容に加え、大型打楽器必須、そして単純に難しめということで、
残念ながら酒まつり以外で演奏する場所がなかったのが残念。
せめて一般的な知名度がもうちょっとあったらなぁ。
でもなかなか臨場感に溢れてて、原曲の雰囲気の再現度は高い編曲だったかと思う。


♪ 愛しのライリー

…秋の本番ラッシュ(酒まつり、空港、秋の小谷SA、寺西文化祭、入野小)全てで使用。
ドリカムが歌う、この年公開されたディズニー・ピクサー映画『インサイド・ヘッド』の主題歌。
前年のレリゴーにはさすがに劣るものの、
この作品もそこそこ話題になっていたように思うのだが、実際どうだったのだろう。
映画は観ていなくても、曲自体はテレビつけてりゃサビくらいは覚える程度に流れていたので、
お客さんの感触自体は悪くなかったとは思うが…。


♪ ふるさと

…秋の小谷SA、寺西文化祭、入野小芸術鑑賞会、寺西音楽祭、翌年度初めのくららオープンディで使用。
元々は1月の寺西楽しい音楽祭で、毎年ラストに合唱込で合同演奏していた曲なのだが、
入野小芸術鑑賞会があった関係で、小学生に聴いてもらう用のプログラムを考えたときに、
「どうせ今年もやるんだから小学校でもこれやっちゃおう」
→「ならもう秋のプログラムにもぶっ込んじゃおう」
となって採用。
童謡が1曲あるとプログラムに安定感が増す。


♪ 入野小学校校歌
♪ マイホームタウン

…いずれも入野小芸術鑑賞会で使用。
当然吹奏楽譜などなかったので、いずれもおれの編曲による吹奏楽譜を作って演奏。
さらに僭越ながら、「今後このような機会があった際に使ってください」ということで楽譜を寄贈(?)させていただいた。(作曲者に無断のアレンジだけどいいのか?)

マイホームタウンというのは、入野小のオリジナルソングのようなものらしく、
ある代の卒業生が作詞し、地元に縁のあるプロの作曲家に曲をつけてもらってできた曲なのだそう。
確かに歌詞には、おれの地元で例えるところの「絵下山」とか「長慶寺」みたいなワードが盛り込まれている。
入野小の児童はこの曲を、
式典やちょっとした学校行事のときなど実に色々な場面で歌っているらしく、
校歌と同じか、あるいはそれを凌ぐポジションと言っても差し支えないくらいらしい。

で、この曲がまたいい曲だったのよ。
企画の段階で先方の担当者であるPTAの方と打ち合わせた際に、
編曲作業に必要だからと、校歌とこの曲を入れたCDをいただいたのだが、
一度聞いただけですんなり入ってくるメロディーと、ホッとするような歌詞に、
正直、いち小学校で歌い継がれる曲で終わるのはもったいないと感じてしまったほど。
団員の中にも、「これいい曲じゃね」と言ってきた人もいたっけな。
鑑賞会当日は、プログラムの最後に校歌とマイホームタウンを配置して、
ウィンドの演奏に合わせて児童全員で歌ってもらう、合同演奏の形をとらせてもらった。
この日がキッカケになって、
中学校に進んで吹奏楽を始める子がこの中から出てきてくれたら嬉しいなぁと感じたものだ。
小学校の芸術鑑賞会での演奏、ただ曲を並べるだけじゃなく、
1時間の間飽きさせないよう、間に参加型体験企画を入れてみたり、
楽器紹介の時など 司会の内容にいつも以上に気を配ったりと、
非常に大変だったことは否めないが、
今回である程度のノウハウは得られたので、またどこかから呼んでもらえたらいいなぁと思う。


♪ コンサートマーチ 「セカンド・センチュリー」
♪ 丘の上のレイラ
♪ パルス・モーションⅡ
♪ ステラー・ウインド

…定期で使用。


♪ DREAM SOLISTER

…空港、秋の小谷SA、定期で使用。


♪ 言葉にできない

…空港、秋の小谷SA、寺西文化祭、定期で使用。


♪ フックト・オン・クラシックス Vol.3  楽器紹介編
♪ ファンク・アタック

…寺西音楽祭、定期で使用。


♪ 伝説の「長寿番組」メドレー
♪ Old and Wise

…定期、くららオープンディで使用。


♪ ルパン三世のテーマ ’78  ~SKA Ver.~

…寺西音楽祭、定期、くららオープンディで使用。


これら定期使用曲は、
第26回定期終了直後の記事で熱い想いを長々と綴っておりますので、
よろしければそちらも見てやってください。

第26回定期演奏会プログラムの振り返り記事




ということで2015年度は以上。
次回は第3弾(最終回)、2016年度(企画3年目)をお届けします。



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